「性器周りにイボができた」「尖圭コンジローマかもしれない」と、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
男性が尖圭コンジローマに感染するとイボ状のできものができ、自然治癒は極めて稀なため医療機関での治療が必要になります。
この記事では、尖圭コンジローマに男性が感染した場合の治療法や、感染経路などを詳しく解説します。
尖圭コンジローマは再発率が非常に高いため「感染しているかも?」と思った場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
尖圭コンジローマとは?
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされる性感染症の一つです。
HPVには100種類以上の多くの型が存在しますが、尖圭コンジローマの原因となるのは以下の低リスク型のHPVです。
- 6型
- 11型
尖圭コンジローマは男女ともに感染する性感染症ですが、この記事では男性が感染した場合のみに特化して紹介していきます。
男性の主な尖圭コンジローマの症状とは?
男性が尖圭コンジローマに感染すると、ピンク色や茶色の小さなイボが性器やその周辺に発生します。
特に、亀頭の先端や包皮の内側・カリ首・陰嚢などに現れることが多くあります。
尖圭コンジローマは性器周辺だけでなく、口内や唇・喉などにも感染するため注意が必要です。
イボは先端が尖っており、初期には数も少なく痛みやかゆみはありません。
しかし、治療をせずに放置するとイボが徐々に大きくなり、数も増加していきます。
症状が進行すると周囲のイボ同士がくっつき、トサカやカリフラワーのような形状に変形していきます。
病変が進み一目で尖圭コンジローマに感染していると分かる頃には、出血や痛み・かゆみといった症状が発症する場合があるため注意が必要です。
尖圭コンジローマは潜伏期間が非常に長く、感染してから発症するまで数週間~8ヵ月ほどかかります。
そのため、初期症状がわかりにくく、感染源の特定が難しい性感染症といえます。
尖圭コンジローマは似た症状の性感染症も多いため、症例写真を見ただけで自己判断せず、必ず医療機関を受診して正確な診断を受けましょう。
尖圭コンジローマの感染原因と男性に多い感染経路
尖圭コンジローマはどのような経路で感染するのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、尖圭コンジローマの主な感染経路を解説するため、予防に役立てましょう。
HPVウイルスによる感染
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因です。
HPVが付着した手で傷口や粘膜に触れることで感染リスクが生じるため、周囲に感染者がいる場合は注意しなければなりません。
HPVウイルスによる尖圭コンジローマ感染症を防ぐためには、感染者との接触やタオルや湯船の共有を控えましょう。
性交渉やオーラル・アナルによる接触感染
尖圭コンジローマの主な感染経路は、性交渉を介した接触感染です。
HPVは感染者の皮膚や粘膜に存在し、性器同士の接触はもちろん、オーラルセックスやアナルセックスによっても、ごくわずかな傷口からウイルスが侵入し感染が成立します。
オーラルセックスでは口と性器の接触によって感染し、口内や唇・喉にイボができます。
一方、アナルセックスでは、肛門内や肛門周囲にイボができます。
また、尖圭コンジローマに感染しているパートナーと一度性行為をおこなうと、約60〜80%という高い確率で感染すると言われています。
尖圭コンジローマの主な感染経路は性交渉のため、感染が疑われる場合は性的な接触を避けましょう。
性風俗やコンドーム未使用による感染リスクの増加
男性が尖圭コンジローマに感染する経路として多いのは、性風俗の利用とコンドームを適切に使用しない性交渉です。
性風俗店では不特定多数との性的な接触機会が増えるため、HPVに感染している可能性のある相手と接するリスクが高まります。
また、コンドームを使用しない性交渉は、ウイルスが皮膚や粘膜に直接触れる機会を格段に増やし、感染リスクを大幅に高めます。
HPVはコンドームで覆われない範囲でも感染が起こり得るため、コンドームを正しく使用していても100%感染を防げるわけではありませんが、その使用は感染リスクを減らす上で非常に重要です。
性風俗の利用やコンドーム未使用による性交渉は、尖圭コンジローマだけでなく他の性感染症に感染するリスクも高めるため注意しましょう。
潜伏期間中に感染させる可能性もある
尖圭コンジローマの感染経路で特に注意すべき点は、潜伏期間中でも他者に感染させる可能性がある点です。
HPVに感染しても、すぐにイボなどの目に見える症状が現れるわけではありません。
尖圭コンジローマは潜伏期間が数週間〜数ヶ月と、非常に長い性感染症です。
無症状の期間でも感染者の皮膚や粘膜にはウイルスが存在しており、性交渉を通じてパートナーにウイルスをうつしてしまうリスクがあります。
そのため、もし性交渉の相手が尖圭コンジローマと診断された場合、自身に症状がなくても、感染している可能性を考慮し、速やかに医療機関を受診して検査を受けましょう。
男性の尖圭コンジローマの治療法
男性の尖圭コンジローマの治療法には、大きく分けて薬物療法と外科的治療の2種類があります。
薬物療法では以下の外用薬が処方され、塗り薬が最も再発率を抑えられるといわれています。
薬名 | 働き | 服用方法 |
---|---|---|
イミキモドクリーム | ・体内の免疫細胞を活性化させる ・ウイルスに感染した細胞を排除する働きを助ける | 16週間を目安に服用 |
ポドフィリン | ・病変部の細胞増殖を抑制する | 一週間間隔で、最高6回まで |
外科的治療では液体窒素による凍結療法や、電気焼灼法・レーザー蒸散術にてイボを切除・焼灼します。
凍結療法は液体窒素を含ませた綿棒をイボに押し当て、凍結壊死させます。
電気焼灼法では電気メスを用いてイボを切除しますが、麻酔をするため施術中の痛みはありません。
しかし、メスによる切開施術になるため、傷跡が残る可能性があります。
一方、レーザー蒸散術では炭酸ガスレーザーを照射してイボを蒸散させるため、傷跡が残りにくい点がメリットです。
通常、尖圭コンジローマの治療は保険適用ですが、ポドフィリンは保険適用外となっています。
治療方法 | 費用相場 |
---|---|
凍結療法 | 800円程 |
電気焼灼法 | 9,000円~15,000円程 |
レーザー蒸散手術 | 9,000円~15,000円程 |
治療方法はイボの大きさや数、発生部位によって医師が判断します。
尖圭コンジローマに感染した場合は、医療機関にて適切な治療を受けましょう。
放置するとどうなる?治らない・再発リスクについて
尖圭コンジローマは自然治癒するケースがあるが極めて稀なため、医療機関での治療が必要です。
感染しているにもかかわらず治療せずに放置すると、イボが拡大していき病変が悪化する恐れがあります。
また、外科的治療は表面のイボを取り除いただけに過ぎず、HPVは体内に残っています。
そのため、尖圭コンジローマは3カ月以内に再発する確率が25%と非常に高く、注意が必要です。
再発に気付かずパートナーと性行為をおこなうと、尖圭コンジローマを移してしまう恐れがあります。
尖圭コンジローマの治療後は、イボが消失してから3カ月間再発していないことを確認しましょう。
また、尖圭コンジローマのHPVは低リスク型のため発がん性が低く、いわゆる良性のイボといわれています。
しかし、癌の原因となる「高リスク型」と同時に感染している場合や、高リスク型が原因となるコンジローマも増加しています。
現在、尖圭コンジローマのHPVを体内から完全に排除する治療法はありません。
治療をおこなっても再発のリスクが高く、根本的なウイルス排除ではないことを理解しておきましょう。
尖圭コンジローマは何科に行くべき?病院の選び方と診察・検査の流れ
「性器にイボができたけど、何科に行けばいいの?」「恥ずかしくて病院に行きにくい…」と感じている男性もいるかもしれません。
男性が尖圭コンジローマの疑いで受診する場合、泌尿器科や性病科が一般的です。
皮膚科でも診察してくれる場合がありますが、デリケートな部位の症状に特化している泌尿器科や性病科の方が、より専門的な知識と経験に基づいた診断や治療が期待できます。
診察内容は症状や性交渉の状況について問診された後、医師によって視診をおこないます。
より詳しい診断が必要な場合や、他の病気との鑑別が必要な際は、以下の検査もおこないます。
- ダーモスコピー検査
- 組織検査
- HPV型判定検査
基本的に、尖圭コンジローマの診察や検査・治療は保険診療となりますが、炭酸ガスレーザーを使用したレーザー蒸散手術は保険適用外となる場合もあります。
多くのクリニックでは患者のプライバシーを守るため、個室での診察や、他の患者と顔を合わせにくいような配慮がされています。
受付時に匿名での検査を希望できる場合もあるため、恥ずかしくて受診を迷っている方はホームページなどで確認してみましょう。
尖圭コンジローマの再発予防のためにできること
尖圭コンジローマは治療をおこなってもウイルスは体内に残り続けるため、根本的に治すことはできません。
そのため、他の性感染症よりも再発防止に努めることが重要となります。
コンドームは必ず使用する
尖圭コンジローマの再発予防、そして新規感染を防ぐためには、コンドームの適切な使用が非常に重要です。
コンドームは性感染症の予防に有効な手段であり、尖圭コンジローマの感染リスクを大幅に軽減できます。
膣交渉だけでなくオーラルセックスやアナルセックスを含むあらゆる性行為において、最初から最後まで正しくコンドームを使用することが推奨されます。
ただし、HPVはコンドームで覆われていない皮膚や粘膜からも感染する可能性があるため、100%感染を予防できるわけではありません。
尖圭コンジローマは潜伏期間が非常に長く、気付かぬ間にパートナーへ移してしまい「ピンポン感染」を引き起こす場合があります。
コンドームの正しい使用は再発や新規感染のリスクを最小限に抑えられるため、必ず使用しましょう。
免疫力を高める生活習慣を送る
尖圭コンジローマの再発予防には、身体の免疫力を高める生活習慣を送ることが非常に重要です。
HPVは治療によってイボがなくなっても体内に潜伏している可能性があり、免疫力が低下すると再発しやすくなります。
まず、免疫力を高めるためにはバランスの取れた食生活を心がけましょう。
また、睡眠不足は免疫機能の低下に直結するため、十分な睡眠を確保しストレス軽減することも重要です。
健康的な生活習慣は体内の免疫力を向上させ、HPVの活動を抑えて尖圭コンジローマの再発リスクを低減することにつながるため継続していきましょう。
HPVワクチンを接種する
尖圭コンジローマの再発予防、そして新規感染の予防に極めて有効なのが、HPVワクチンの接種です。
HPVワクチンは尖圭コンジローマの原因となるHPVの感染そのものを防ぐ効果が期待できるため、イボの発生を未然に防ぎ、結果として再発リスクも低減します。
現在、日本で接種可能なHPVワクチンには、以下の2種類があります。
ワクチンの種類 | 特徴 |
---|---|
ガーダシル(4価ワクチン) | 尖圭コンジローマの原因となるHPV6型・11型、子宮頸がんの原因となるHPV16型・18型に対応 |
シルガード9(9価ワクチン) | HPV6型・11型・16型・18型に加え、高リスク型のHPV31型・33型・45型・52型・58型にも対応 |
小学校6年生~高校1年生相当の女子がHPVワクチンの定期接種対象ですが、男性も任意接種としてワクチンを受けることが可能です。
HPVワクチンの予防効果を最大限に得るためには、性行為の経験がないうちに接種することが最も推奨されます。
尖圭コンジローマはHPVワクチンで感染を予防できるため、接種しておきましょう。
まとめ
尖圭コンジローマは男性が感染することも珍しくない性感染症で、早期発見と早期治療が重要です。
- 尖圭コンジローマはHPV6型・11型に感染することで発症する
- 尖圭コンジローマは潜伏期間が非常に長く、治療後もHPVが体内に残っており再発率も高い
- 尖圭コンジローマの男性の主な症状は、イボが性器周辺・口内・喉などに発生する
- 主な感染経路は性交渉であり、オーラルセックスやアナルセックスでも感染する
- 尖圭コンジローマの治療法は、外用薬の使用や凍結療法・電気焼灼法・レーザー蒸散手術などがある
尖圭コンジローマは再発予防に努め、パートナーへの配慮も忘れずにおこなうことが重要です。
多くのクリニックでは匿名での受診や、プライバシーに配慮した治療がおこなわれます。
気になる症状がある場合は恥ずかしがらず、早期に専門医に相談しましょう。
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