「末期エイズになるとどんな症状が出てくるの?」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
昔は「死の病」と呼ばれていたエイズですが、現在は早期発見と適切な治療によって末期エイズへの進行を抑えることが可能です。
この記事では、末期エイズの症状や進行段階ごとの特徴を詳しく解説します。
エイズに関する正確な知識を身に付け、自身の健康を守りましょう。
そもそもエイズ(AIDS)とは?HIVとの違いを整理
「エイズとHIVは何が違うの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
HIVとエイズは混合されやすく、しっかりと違いを把握している方は少ないといえます。
ここでは、エイズとHIVの定義や、違いを解説するため、正しい知識を身に付けましょう。
HIVとエイズ(AIDS)の定義と関係性
HIV(Human Immunodeficiency Virus)は、ヒト免疫不全ウイルスを指します。
一方、AIDS(Acquired Immunodeficiency Syndrome)は、HIVに感染することにより、免疫力が低下してさまざまな合併症を発症した状態を指します。
エイズの日本語の正式名称は「後天性免疫不全症候群」であり、厚生労働省が定める23の疾患を発症するとエイズと診断されます。
そのため、HIVに感染した場合でも、23の疾患を発症していなければエイズとはいわず、HIV=エイズではないため注意が必要です。
エイズの原因となるHIVの主な感染経路は、以下の3つといわれています。
- 性交渉
- 血液感染
- 母子感染
性交渉による感染が8割を占めており、最も多い感染経路です。
血液感染は主に注射器の使いまわしによって発生し、母子感染は出産時や母乳を介した感染などがあります。
HIVに感染しても早期発見や適切な治療をおこなえば、エイズを発症しないため、正しい知識を身に付けておきましょう。
エイズ発症の目安となる「CD4陽性細胞数の減少」
エイズ発症の目安となる重要な指標が、CD4陽性リンパ球の減少です。
CD4陽性細胞は、体外から侵入する病原体と戦う免疫システムの中心的な役割を担っています。
健康な人のCD4陽性細胞数は通常500〜1,500/μL程度ですが、HIVに感染すると徐々に破壊されて減少していきます。
CD4陽性細胞数が一定の基準を下回ると、体の防御機能が著しく低下し、日和見感染症や悪性腫瘍を発症しやすくなります。
日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)とは、健康な人であれば感染症を引き起こさないような、毒性の弱い微生物が原因で発症する感染症をさします。
特に、日和見感染症は末期エイズの症状といわれており、CD4陽性細胞数の減少はエイズ発症の目安となります。
エイズの進行段階
HIVに感染してから末期エイズの症状が現れるまでには、大きく分けて3つの段階があります。
- 初期(急性期)
- 無症候期
- 発症期(末期)
急性期と呼ばれる感染後2〜6週間は、HIVウイルスが急激に増殖する時期です。
CD4陽性細胞が破壊され始め、発熱やのどの痛み、全身の倦怠感など風邪やインフルエンザに似た、エイズの初期症状が見られることがあります。
初期の症状は数週間で自然に消えるため、HIV感染に気づかないまま見過ごされてしまう場合も少なくありません。
急性期の段階では、まだ体内で抗体が十分に生成されていないため、検査をしても陰性となる場合があるので注意が必要です。
無症候期は急性期の症状が消えた後の、約5年~10年間の症状がほとんど現れない期間を指します。
自覚症状がないため、HIV感染に気づかずに過ごしてしまいますが、体内ではHIVウイルスが増殖を続けています。
また、CD4陽性細胞も減少しているため、口腔カンジダ症や帯状疱疹などの免疫力低下の兆候となる病気にかかりやすくなる場合もあります。
無症候期を経て免疫力が著しく低下すると発症期に入り、厚生労働省が指定する23の疾患のうち、ひとつでも発症するとエイズと診断されます。
末期エイズの主な症状とは?
末期エイズの主な症状は、免疫力が極度に低下したことによって引き起こされる、重篤な感染症や悪性腫瘍です。
免疫力が低下するため、健康な人であれば問題にならないような弱い病原体にも感染しやすくなり、さまざまな感染症を発症します。
例えば、ニューモシスチス肺炎はニューモシスチス・イロベチイという真菌が原因の感染症で、真菌が肺で増殖し、主に咳や息切れ・呼吸困難など重篤な肺炎を引き起こします。
カポジ肉腫は血管内皮細胞に由来する悪性腫瘍の一種で、末期エイズの症状としてよく知られており、HIV感染者に見られる最も多い悪性腫瘍の一つです。
主に、皮膚や粘膜に紫〜黒の斑点やしこりが表れ、消化管や肺・リンパ節などの内臓にも発生することがあります。
トキソプラズマ脳炎は、トキソプラズマ原虫という寄生虫が原因で引き起こされる重篤な脳炎です。
また、末期エイズの症状の一つとして「HIV消耗性症候群」があり、体重の急激な減少や慢性的な下痢・30日以上続く慢性の発熱などもあります。
末期エイズが進行するとどうなる?
末期エイズの症状が進行すると、命に関わる深刻な状態に陥るため注意が必要です。
エイズは免疫システムが機能不全になっているため、日和見感染症が重症化し、生命維持に不可欠な臓器を次々に蝕みます。
また、末期エイズは複数の合併症が同時に発症し、多臓器不全に至るリスクが高まります。
末期エイズが進行すると日常生活を送ることが困難になるため、専門的な医療と介護が不可欠です。
回復の見込みがなく、死が避けられないと判断された場合は、終末期医療として緩和ケアや穏やかな最期を迎えられるようサポートがおこなわれます。
すでにこんな症状がある人は要注意
「長期間で体の不調が続いている」「ダイエットをしているわけではないのに、なんだか体重が減ってきた」など、体に異変が出ている場合、末期エイズの可能性があるため注意が必要です。
ここでは、注意すべき症状について解説するため、自身の健康状態を確認してみましょう。
咳が長引く、慢性の発熱が続く
HIVに感染したばかりの急性期には、風邪やインフルエンザとよく似た症状が現れることがあります。
- 発熱
- のどの痛み
- リンパの腫れ
- 全身の倦怠感
通常、風邪やインフルエンザは数週間で完治しますが、原因不明の咳や発熱が続く場合は、免疫力が低下しているサインかもしれません。
咳や発熱が長期間続く場合は医療機関を受診し、医師に相談してみましょう。
理由のない体重減少
末期エイズの症状が進行すると、理由のない体重減少が起こる場合があるため注意が必要です。
特に、HIV消耗性症候群では、慢性的な下痢や発熱に加えて、栄養吸収障害なども発生します。
そのため、ダイエットや食事制限などをしていないにもかかわらず、体重が急激に10%以上減少する場合もあります。
理由のない急激な体重減少がある場合は、エイズを発症している可能性があるため注意しましょう。
HIV感染がわかる平均的な時期
HIV感染が発覚する平均的な時期の目安は、感染後3週間〜3か月ごろとされています。
血液検査では体内で生成された抗体の有無によって感染を判断します。
HIVに感染してから検査で陽性反応が出るまでの期間を「ウインドウ・ピリオド」と呼び、最低でも3週間はかかります。
HIVは急性期には発熱やのどの痛みなどの症状がありますが、数週間で治まるため感染に気づくのが遅れてしまうケースが少なくありません。
HIV感染は早期に発見し、適切な治療を開始すれば末期エイズの発症を防ぐことが可能です。
症状がなくても、不安な行為があった場合は、早期検査を受けることが自身の命を守る最も重要な行動となります。
感染の可能性がある場合は、速やかに医療機関で検査を受けましょう。
エイズの検査方法
エイズの検査方法は、血液中のHIV抗体やHIV抗原を調べる血液検査がおこなわれます。
HIV抗体検査は性病専門クリニックをはじめ、泌尿器科や産婦人科などの医療機関で受けられます。
医療機関でのHIV抗体検査は自由診療となり、全額自己負担となるため注意が必要です。
多くの医療機関では保険証の提示が求められますが、性病専門クリニックなど一部の医療機関では匿名での検査に対応している場合もあります。
一方、全国の保健所や自治体の特設検査施設では、HIV抗体検査が無料で受けられるケースが多くあります。
保健所や特設検査施設では無料かつ、匿名で検査を受けられ、プライバシーへの配慮もされているためおすすめです。
しかし、検査日程が限られていたり、結果が出るまでに日数がかかったりする場合があるため事前に日程など調べておきましょう。
また、HIV抗体検査は自宅でできる検査キットも販売されており、プライバシーを重視したい方や、忙しくて病院に行く時間がない方におすすめです。
HIV検査キットでは指先から少量の血液を採取したり、唾液を採取したりするものがあり、採取した検体を郵送して検査機関でHIV抗体やHIV抗原を調べてもらいます。
自宅で手軽に検査ができるメリットがありますが、検査キットの精度や信頼性は製造元によって異なります。
万が一、陽性だった場合は、必ず医療機関を受診して確定診断を受けましょう。
末期エイズに関するよくある質問
末期エイズに関して、さまざまな不安や悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ここでは、末期エイズに関するよくある質問を紹介するため、参考にしてみてください。
エイズはどこまで進行したら末期と判断されますか?
エイズは厚生労働省が定める「エイズ指標疾患」と呼ばれる23の疾患のうち、いずれか一つでも発症した場合に末期と判断されます。
末期エイズでも治療で回復することはありますか?
末期エイズと診断された場合でも、適切な治療を受けることで回復し、健康な生活を送れるようになる可能性があります。
しかし、一度感染したHIVウイルスを完全に体内から除去することはできず、治療を継続する必要があります。
自分がエイズかもしれないと不安なときはどうすればいいですか?
エイズかもしれないと不安がある場合は、医療機関にてHIV検査を受けましょう。
以前は「死の病」と呼ばれてたエイズですが、現在では適切な治療を受ければ発症を抑え、健康な人と変わらない生活を送ることが可能です。
エイズは早期発見・早期治療が重要なため、感染の疑いがある場合は早急に検査を受けましょう。
まとめ
末期エイズはHIVに感染・進行することで発症し、免疫力低下による日和見感染症やがんなどの症状が発症します。
多くの人が混合しがちですが、HIVに感染しただけでエイズを発症するわけではありません。
エイズは完治が難しい病気ですが、早期にHIV感染を発見し、適切な治療を開始すれば末期エイズへの進行を抑えることが可能です。
HIVへの感染が疑われる場合は一人で不安を抱え込まず、医療機関でHIV検査を受けましょう。
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