「梅毒は何日くらいしたら発症するの?」「無症状の期間があるって本当?」と、梅毒感染症に関して、疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
感染症の中でも、梅毒は検査結果が陽性になるまでのウインドウ期が長く、無症状の期間もあるため、感染に気付きにくい場合があります。
この記事では、梅毒の潜伏期間やウインドウ期の長さ、無症状期間について解説します。
梅毒の正しい知識を身に付け、早期発見・早期治療に役立てましょう。
梅毒の潜伏期間は?
梅毒の潜伏期間とは、病原体である梅毒トレポネーマに感染してから、最初の症状が現れるまでの期間を指します。
一般的に、感染の疑いがある行為から3週間ほどといわれており、性感染症の中でも比較的長いといえます。
梅毒は潜伏期間中も感染力があるため、知らないうちにパートナーに感染させてしまっているケースも少なくありません。
梅毒は感染者の粘膜や皮膚との接触でも感染するため、性交渉に準ずる行為やキスでも感染します。
- 性交渉
- オーラルセックス
- アナルセックス
- キス
1回の性行為で感染する確率は約20〜30%程度といわれており、性感染症の中でも非常に高い感染力を持っています。
潜伏期間の最長と最短
「感染が疑われる性行為から3週間経っても発症していないから大丈夫!」と、誤解している方もいらっしゃるかもしれません。
梅毒の潜伏期間は、感染者の体調や免疫状態などによって大きく異なるため注意が必要です。
潜伏期間の最短として、感染が疑われる行為から1週間程度で症状が現れる場合があります。
一方、梅毒の潜伏期間の最長は90日程度といわれており、非常に長い点が特徴です。
梅毒の性感染症の潜伏期間は個人差が非常に大きいため、性的な接触があった場合は、期間に関わらず注意しましょう。
男女で潜伏期間に違いはある?
梅毒の潜伏期間は、男女で違いはありません。
男性も女性も同様に、感染から症状が現れるまでに個人差はありますが、平均すると約3週間とされています。
ただし、男性は性器に病変が現れることが多く、自覚しやすい特徴があります。
一方、女性は膣の奥など病変に気づきにくい場合があるため、注意が必要です。
症状の有無に関わらず、感染の可能性が疑われる場合は、男女ともに早めに医療機関を受診しましょう。
ウインドウ期の検査に要注意
「梅毒は一度検査して陰性なら感染していないの?」と、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
梅毒の検査を受ける際は、ウインドウ期に注意しなければなりません。
主な検査方法は、血液検査によって体内にできた抗体を調べることで感染の有無を判定します。
この病原菌に対する抗体が十分に検出できるようになるまでの期間を「ウインドウ期」と呼びます。
ウインドウ期に検査をおこなうと、たとえ感染していても陰性となる可能性があるため注意が必要です。
梅毒のウインドウ期は3週間以上あるため、検査をおこなう場合は感染機会から4〜6週間程度経過してからおこないましょう。
潜伏中(無症状)でも梅毒はうつる?
「症状が出ていなければ感染力はないの?」「パートナーには何も症状がないから大丈夫?」と、疑問に思う方も少なくありません。
梅毒は潜伏中の無症状の状態であっても、感染するため注意が必要です。
梅毒トレポネーマは、潜伏期間中も体内に存在し、感染力を持っています。
特に、感染から1年以内の早期顕性梅毒の期間は、感染力が非常に高いとされています。
この時期に性行為を行うと、約3割の確率で相手に感染させると言われているため注意しましょう。
また、感染初期に皮膚や粘膜にできる潰瘍は、直接触れることで感染が広がる可能性があるため、感染リスクは非常に高いといえます。
梅毒は潜伏中は無症状であり、感染していることに気づかないまま、パートナーにうつしてしまうケースが少なくありません。
潜伏中でも梅毒は感染するため、コンドームの使用や定期的な検査を受けましょう。
梅毒の進行について【時系列】
梅毒は感染後の時間経過とともに、症状が変化していく感染症です。
適切な治療を行わないと、第一期・第二期に進行していくため、当てはまる症状がある場合は検査・治療を受けましょう。
第一期
梅毒の第一期は、感染から3週間~3ヶ月後頃を指し、初期症状が表れる時期です。
- 初期硬結
- リンパ節の腫れ
- 硬性下疳
梅毒の第一期では、初期硬結(しょきこうけつ)と呼ばれる痛みのないしこりが、陰部や口唇部・口腔内などに発生します。
初期硬結は小豆ほどの小ささや小指程度の大きさのしこりで、軟骨程度の硬さをしており、ニキビと間違える方も少なくありません。
また、感染部位に硬性下疳(こうせいげかん)と呼ばれる、潰瘍が発生する場合もあります。
頸部や鼠径部などの感染部位に近いリンパ節が腫れる場合もありますが、痛みはありません。
梅毒の第一期の症状は、発症から2~3週間ほどで自然に消失していきます。
そのため、感染に気付かない場合や、放置してしまう方が多いため、上記の症状があった場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
第二期
第一期の症状が消えた後、感染から約3ヶ月~3年の間に第二期梅毒に移行します。
全身のリンパ節の腫れに加え、以下のような風邪に似た症状が発症します。
- 発熱
- 倦怠感
- 関節痛
- 頭痛
- のどの痛み
- 食欲不振
- 体重減少
また、梅毒の第二期では、梅毒性バラ疹と呼ばれる赤い発疹が全身に現れます。
梅毒性バラ疹は手足の裏から全身に広がることがありますが、かゆみや痛みがないため見過ごされやすい症状です。
その他にも、丘疹性梅毒疹や梅毒性乾癬、膿疱性梅毒といった、梅毒特有の症状も発症します。
病名 | 症状 |
---|---|
梅毒性バラ疹 | ・赤い発疹が全身に出る ・痛みやかゆみはない |
丘疹性梅毒疹 | ・小豆やエンドウ豆大の赤褐色で盛り上がったしこりのような発疹がでる ・痛みやかゆみはない |
梅毒性乾癬 | ・手のひらや足の裏に乾癬に似た発疹が出る ・フケのように皮膚がめくれる |
現代では第2期で梅毒の感染が発見・治療されることが多く、これ以上進行するケースはごく稀です。
第二期に現れる症状は、数週間~数か月で自然に消えますが、体内の病原菌は残っています。
風邪のような症状が長引いたり、全身の発疹や乾癬に似た症状が出たりした場合は、梅毒の感染を疑いましょう。
無症候期(潜伏梅毒)
梅毒は症状がない「無症候期」があり、感染に気付けない期間があるため注意が必要です。
第二期の症状が自然に消えた後、無症候期(潜伏梅毒)と呼ばれる自覚症状がほとんどない期間が数年間続きます。
無症候期は症状はありませんが、体内に梅毒トレポネーマが存在し続けている状態です。
長期にわたって症状がないため、感染していることに気づかない、もしくは完治したと勘違いしてしまうケースも少なくありません。
また、病原菌は体内で活動を続けており、放置してしまうと第三期梅毒へと進行し、臓器や神経に重大な障害を引き起こす可能性があります。
症状がない場合でも、梅毒に感染した可能性がある場合は検査を受け、適切な治療を受けましょう。
梅毒感染の注意点
梅毒は進行性の性感染症であり、適切な治療を行わないと重篤な合併症を引き起こす可能性があり注意が必要です。
感染の疑いがある場合は早急に検査をおこない、万が一に感染していた場合は適切な治療を受けましょう。
また、梅毒は他の性感染症と比べ、感染力が非常に高いため、治療中は性行為を控えなければなりません。
梅毒の治療を完了しても永続的な免疫はできないため、再び感染機会があれば、何度でも感染します。
特に、パートナーも感染している場合は、互いに移し合う「ピンポン感染」を繰り返してしまいます。
再感染を防ぐためには、パートナーと共に検査を受け、必要であれば同時に治療を行うことが重要です。
妊娠中や妊活中の場合
妊娠中や妊活中に梅毒に感染していると、胎盤を通じて胎児に感染する先天梅毒のリスクがあるため注意しましょう。
万が一、先天梅毒にかかると流産や死産、さらには胎児に重い障害を引き起こす可能性があり非常に危険です。
先天性梅毒は出生後すぐに現れる早期先天梅毒と、学童期以降に現れる晩期先天梅毒の2つに分類されます。
分類 | 発症時期 | 症状 |
---|---|---|
早期先天梅毒 | 生後数ヶ月以内 | ・赤い発疹や水疱性の皮疹 ・骨の異常 ・全身のリンパ節の腫れ ・肝臓や脾臓の腫大 |
晩期先天梅毒 | 生後約2年以降 | ・角膜実質炎 ・内耳性難聴 ・ハッチンソン歯(前歯の変形) |
日本では、妊娠初期に妊婦健診にて、梅毒のスクリーニング検査が法律で定められています。
先天梅毒を防ぐためにも早期受診や、パートナーとの同時検査が大切です。
梅毒でよくある質問
現在、日本では梅毒の感染者が増加しており、感染後の症状や治療法について多くの人が疑問を抱えています。
ここでは、梅毒に関してよくある質問と解説を紹介するため、お悩み解決にお役立てください。
梅毒の潜伏期間中でも検査で分かる?
梅毒の潜伏期間中は、検査をしても正確な結果が出ない場合があります。
主に、梅毒の検査は体内の抗体の有無を調べますが、潜伏期間では抗体の量が少なすぎて偽陰性となる可能性があります。
正確な検査結果を得るためには、感染の疑いがある行為から1ヶ月程度経過してからおこないましょう。
梅毒は自然に治る?
いいえ、梅毒は、放置していても自然に治ることはありません。
「無症状期」によって症状が一時的に消えるため、自然に完治したと勘違いする方も少なくありません。
しかし、無症状期の間も梅毒トレポネーマは体内に潜んでおり、適切な治療を行わなければ再び症状が悪化し、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
梅毒と診断された場合は、自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従い、最後まで治療を続けましょう。
梅毒の検査は何科に行けばいい?
梅毒の検査は、皮膚科や泌尿器科・産婦人科などで受けられます。
また、性感染症専門クリニックや、感染症科・内科でも診察可能です。
多くの保健所や性感染症専門クリニックでは、無料で匿名での検査を受けられるため、ぜひ活用して早期発見・早期治療に努めましょう。
まとめ
梅毒の潜伏期間は個人差がありますが3週間ほどといわれており、非常に感染力が強いため注意が必要です。
潜伏期間中は検査をしても陽性反応が出ない「ウインドウ期」があるため、感染の可能性がある場合は感染機会から1ヶ月ほど経過してからおこないましょう。
梅毒は症状が一時的に消える無症候期を経ながら進行し、治療しなければ自然に治ることはありません。
そのため、少しでも感染の疑いがある場合は、症状の有無にかかわらず、早期に医療機関を受診しましょう。
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