「淋病は喉に感染するとどうなるの?」「どんな症状が出るの?」と疑問をお持ちの方も、多いのではないでしょうか。
咽頭淋病は感染してもほとんどが無症状のため、気づかないうちにパートナーへ広げてしまうリスクが高い性感染症です。
この記事では、咽頭淋病の主な症状や検査方法、治療法などを解説します。
咽頭淋病は自然に治ることがないため、自身の健康と大切なパートナーを守るために、正しい知識を身に付けましょう。
咽頭淋病とは?
咽頭淋病は性感染症の一種であり、淋菌が喉や扁桃腺に感染することで発症する疾患です。
性感染症の中でも比較的感染力が強いとされており、日本国内での感染者は増加傾向にあります。
咽頭淋病の主な感染経路は、オーラルセックス(口腔性交)です。
性器淋病の感染者とのオーラルセックスによって喉に感染しますが、反対に咽頭淋病に感染している人から、性器淋病に感染するケースも少なくありません。
日本ではオーラルセックスをおこなう際に、コンドームを着用する習慣がない方が多く、感染が拡大する原因となっています。
咽頭淋病の症状は発症しても非常に軽微で、風邪との区別がつきにくい点が特徴です。
- 軽いのどの痛み
- 軽い咳
- 微熱
- 喉のイガイガ感
- 喉の乾燥
- 軽度な扁桃腺の腫れ・赤み
咽頭淋病は自覚症状が乏しく、感染に気づかないまま他者へ広めてしまうケースが非常に多くあります。
また、咽頭淋病の潜伏期間は一般的に2〜7日程度と言われています。1回の行為でのどに感染する確率を示した公的な数値はありません。参考として厚生労働省は、性器に淋菌が感染している人の10〜30%はのどにも感染していたとの報告(日本性感染症学会「性感染症診断・治療ガイドライン2020」)を紹介しています。当院の実データでも、尿(性器)が陽性だった方の25.1%は咽頭も陽性でした(後述)。のどの感染は自覚しにくいため、心当たりがあれば検査で確かめてください。
淋菌は乾燥や熱に弱いため、タオルや便座などを介して、日常生活の中で感染する可能性はほとんどありません。
しかし、咽頭淋病感染者とのディープキスでは、感染する可能性があるため注意しましょう。
咽頭淋病を放置した際のリスク
「自覚症状がないなら放置してもいいの?」「治療をおこなわないとどうなるの?」と、疑問をお持ちの方も多いでしょう。
咽頭淋病は放置していても治癒することがないため、医療機関での適切な治療が不可欠です。
治療をおこなわずに放置してしまうと、パートナーへの感染拡大や重症化のリスクも高まります。
ここでは、咽頭淋病を放置した際のさまざまなリスクについて解説します。
無症状が多いため感染が拡大しやすい
咽頭淋病は、感染しても大多数の人が無症状といわれており、気付かぬまま感染を拡大させている可能性があります。
多くの性感染症は性器や喉に腫れやかゆみ、できものなど何かしらの症状が出てきます。
しかし、咽頭淋病は別名「沈黙の感染症」ともいわれ、自覚症状がない場合が多く、検査をしなければ感染に気付けません。
そのため、無自覚のままパートナーや他者に移してしまっているケースも多く、感染が増加傾向にある原因です。
咽頭淋病は自然に治ることはないため、感染の心当たりがある場合は速やかに医療機関にて検査・治療を受けましょう。
咽頭炎や扁桃炎のリスクも
咽頭淋病をそのままにすると、単なる喉の違和感だけでなく、慢性的な咽頭炎や扁桃炎を引き起こすリスクが高まります。
通常の風邪と異なり、咽頭淋病は抗生物質による専門的な治療をしなければ、喉に感染した淋菌が粘膜を刺激し続け、炎症を進行させてしまいます。
症状が悪化して咽頭炎や扁桃炎などを引き起こし、喉の違和感や痛みが続いたり、嚥下痛が発生したり、日常生活に支障をきたす可能性があるため注意が必要です。
咽頭淋病は自覚症状の乏しい性病ですが、感染に気付かないまま放置すると、咽頭炎や扁桃炎のリスクもあるため、定期的に性病検査を受けましょう。
咽頭淋病の検査方法
無症状のケースが多い咽頭淋病は、感染の機会があった場合、自分から進んで検査を受けることがとても重要です。
一般的に、検査方法としては、核酸増幅法がおこなわれます。
核酸増幅法は結果が出るまでに数日かかることが多いですが、最も確実で感度が高い検査方法とされています。
医療機関によっては即日検査をおこなっている場合もあるため、検査方法や結果が出るまでの日数が知りたい場合は事前に確認してみましょう。
また「病院に行きたくない」「匿名で受けたい」という方は、市販の検査キットもおすすめです。
咽頭淋病は自覚症状が乏しい性感染症ですが、感染の可能性がある場合は速やかに検査を受けましょう。
診療先は?
咽頭淋病の感染が疑われる場合、検査や治療は以下の診療科でおこなえます。
- 性感染症科
- 泌尿器科(男性)
- 産婦人科(女性)
- 性病専門クリニック
特に、性病専門クリニックや性感染症専門外来では、咽頭淋病のような性病に詳しい専門の医師がいるため、検査の精度が高く、プライバシーに最大限配慮した対応を受けられるメリットがあります。
また、咽頭淋病の検査と同時に、性器や直腸の淋病や、他の性感染症の検査もまとめて受けられる体制が整っているクリニックを選びましょう。
淋病は喉に感染している場合、性器や直腸に感染している可能性が非常に高い性感染症です。
また、性感染症は複数同時に感染している場合も多く、性病専門クリニックでは一度の受診で幅広いリスクをチェックでき、時間や費用を節約することにも繋がります。
性感染症にかかると「恥ずかしい」「周囲にバレたくない」と、受診をためらいがちです。
しかし、重症化や感染拡大を防ぐためにも、早期発見・早期治療につとめましょう。
検査の費用相場
咽頭淋病の検査費用は、医療機関や検査方法、検査の部位によって異なります。
特に、自由診療の場合は、医療機関が価格を自由に設定できるため、クリニックによって費用に大きな差があります。
泌尿器科や産婦人科では保険診療となり、3割負担となるため2,000円~3,000円が相場です。
一方、性病専門クリニックでは多くの場合、自由診療となるため7,000円~9,000円ほどかかる場合があります。
咽頭淋病の検査は喉だけの検査や、性器や直腸も合わせておこなう場合など、医療機関によって異なります。
検査費用を事前に知りたい場合は、受診予定のクリニックに確認してみましょう。
咽頭淋病の検査の流れ
「咽頭淋病の検査はどうやってやるの?」「痛みはある?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
まずは、喉の痛みや違和感などの症状や、感染の機会・過去の性病歴などを問診表に記入します。
問診表を基に医師による症状の確認や、検査の要否を判断します。
咽頭淋病の検査が必要になった場合は、生理食塩水や水などの液体でうがいをおこない、うがい液を検体として使用します。
医療機関によっては、綿棒で喉の奥をぬぐって検体を採取する場合もあります。
当院(川崎検査クリニック)では、のどのクラミジア・淋菌・マイコプラズマ・ウレアプラズマはうがい液のみで採取するため、綿棒でのどをぬぐうことはありません(のどのHPV検査をご希望の場合のみ綿棒での採取になります)。専用の液体で約30秒うがいをして、うがい液を回収します。痛みはありません。
検査を受けられるのは、性的接触から24時間以上経過してからです。のどの淋菌は、性器(尿)の検査と同じ時期から調べられます。
当院の実測データ①:咽頭の陽性率(上野院)
上野院でうがい液の検査を受けた方の陽性率は次のとおりです。
| 検査項目 | 検査数 | 陽性数 | 陽性率 |
|---|---|---|---|
| 咽頭淋菌(うがい液) | 2,198件 | 101件 | 4.6% |
| 咽頭クラミジア(うがい液) | 2,243件 | 49件 | 2.2% |
集計期間: 2024年7月13日〜2026年8月31日/川崎検査クリニック上野院の実測値
この数字の読み方には注意が必要です。これは「当院で検査を受けた方のうち陽性だった割合」であり、1回の行為で感染する確率ではありません。症状や心当たりがあって検査に来た方を含む数字なので、一般人口の有病率とも異なります。項目別の詳しい数値は性病検査の陽性率データ(実測)に掲載しています。
当院の実測データ②:性器と咽頭の併存感染(両院・4,032検体)
前述の厚生労働省が紹介している「性器に淋菌が感染している人の10〜30%はのどにも感染していた」と同じ指標を、当院の実データで集計しました。対象は尿(性器)と咽頭(うがい液)の両方を検査した4,032検体です。
| 調べたこと | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 尿(性器)の淋菌が陽性だった検体のうち、咽頭も陽性 | 66 / 263件 | 25.1% |
| 咽頭の淋菌が陽性だった検体のうち、尿(性器)も陽性 | 66 / 188件 | 35.1% |
| 咽頭の淋菌が陽性だった検体のうち、尿(性器)は陰性 | 122 / 188件 | 64.9% |
集計期間: 2024年7月13日〜2026年8月31日/川崎検査クリニック川崎院・上野院の実測値。尿と咽頭の両方を検査した検体に限定しています。
尿(性器)が陽性だった方のうち25.1%は咽頭も陽性で、これは厚生労働省が紹介している10〜30%という報告の範囲に収まっています。
そして咽頭の淋菌が見つかった検体の64.9%は、尿(性器)が陰性でした。つまりのどの淋菌が見つかった方のおよそ3分の2は、尿だけを調べていたら陰性と判定され、感染に気づけなかったことになります。のどに感染しても症状が出ないことが普通なので、症状の有無でも判断できません。
オーラルセックスに心当たりがある場合は、尿(性器)とうがい液(咽頭)の両方を調べておくことをおすすめします。どちらも同じ受診時にまとめて採取できます。
なお、この数字は当院で検査を受けた方のうち陽性だった割合であり、一般人口の有病率や1回の行為での感染確率ではありません。
また、この数値には症状のない方が多く含まれています。当院には定期検査・スクリーニング目的で受けられる方が多く来院されるためです。したがってのどの痛みや違和感など症状が出ている方に限れば、陽性率はこの数値よりも高くなります。逆に、心当たりのない一般の方の保有率と比べれば、この数値は高く出ます。ご自身の状況に当てはめるときは、症状の有無で見え方が変わる点にご注意ください。
のどの淋菌は咽頭クラミジアと同じうがい液で同時に調べられます。治療したのに症状が続く場合は咽頭淋菌が治らない理由、検査時期をさらに詳しく知りたい場合は淋病の潜伏期間をご覧ください。心当たりのある行為があればWEB問診(1分・匿名可能)から受診の準備ができます。
検査をおこなう場合は菌の濃度を保ち、検査精度を上げるために、検査の1時間~2時間前は食事やうがい・歯磨き・ガムなどは避けましょう。
万が一、咽頭淋病の検査結果が陽性だった場合、点滴や飲み薬の投与などの治療をおこないます。
咽頭淋病は市販薬がなく、医療機関での治療が必要になる感染症です。
そのため、感染の疑いがある場合は、必ず医療機関で検査・治療を受けましょう。
再検査のタイミング
咽頭淋病は治療が完了した後、淋菌が完全にいなくなったことを確認するための再検査が必要ですが、タイミングが非常に重要です。
淋病の検査に用いられる高感度な核酸増幅法は、菌が死んだ後も死骸に対して陽性反応が出てしまう可能性があります。
治療直後や治療後間もない時期は、治癒していても死菌が原因で陽性と判定されてしまう「偽陽性」のリスクが高まるため注意が必要です。
再検査の最適なタイミングは治療完了後、約2週間〜3週間程度経過してからが推奨されています。
また、淋菌はさまざまな抗生物質に対する「薬剤耐性」を獲得する傾向があり、近年は治療が困難なケースが増えています。
そのため、医師の指示通りに治療をおこなった後でも、確実に菌が排除されたかどうかを再検査で確認することが極めて重要です。
咽頭淋病は再検査によって、使用した薬が効かない耐性菌であった場合の早期発見と、次の治療への移行が可能になります。
確実に治癒したことを確認し、病原菌を体から排除するためにも、自己判断で治療を中断したり、再検査を省略したりせず、医師の指示に従い、適切なタイミングで再検査を受けましょう。
咽頭淋病を予防・再発防止するために
咽頭淋病は適切な治療を受ければ完治できますが、何度でも再感染してしまうリスクがあります。
予防と再発防止のためには、性的な行為におけるリスクを正しく知り、適切な知識に基づいて行動することが重要です。
ここでは、咽頭淋病の予防や再発防止のための注意点を解説するため、自身やパートナーの健康を守るために把握しておきましょう。
コンドームを使用しても完全に防ぐことはできない
咽頭淋病の予防において、コンドームの使用はとても有効な手段の一つではありますが、コンドームを使用しても完全に感染を防ぐことはできません。
コンドームは性器を覆うことはできますが、オーラルセックスの際に感染源となる可能性がある口の周りや、性器の周りを全てカバーすることは不可能です。
そのため、咽頭淋病のリスクをできるだけ下げるためには、コンドームの使用に加え、以下の点に注意しましょう。
- コンドームの正しい使用
- 不特定多数との性的な接触を避ける
- リスクのある行為を控える
- オーラルセックスの前後にうがいをする
咽頭淋病を予防するためには、コンドームや他の感染対策も合わせておこないましょう。
ピンポン感染を避ける
咽頭淋病の治療後の再発防止において「ピンポン感染」を避けることは非常に重要なポイントです。
ピンポン感染とは、どちらか一方のパートナーが治療で治っても、もう一方のパートナーが感染したままだった場合、性的な接触を通じてお互いに感染を繰り返してしまう状態を指します。
そのため、ピンポン感染を防ぐためには、咽頭淋病と診断された場合、症状が出ているかどうかにかかわらず、全ての性的なパートナーが同時に検査を受け、必要であれば治療を受けることが不可欠です。
パートナーが治療を受けている期間や、治療後の再検査で陰性が確認されるまでは、オーラルセックスを含む性的な接触を控えなければなりません。
咽頭淋病の検査で陽性と診断された場合は、パートナーと情報を共有し、一緒に治療を受けピンポン感染による再感染を防ぎましょう。
咽頭淋病に関するよくある質問
自然に治ることは期待できません。咽頭淋病は放置しても治癒せず、慢性的な咽頭炎や扁桃炎に悪化する可能性があります。市販薬もないため、医療機関での検査と治療が必要です。のどに感染していても症状が出ないことが多いので、症状が消えたことを治った証拠とは考えないでください。
厚生労働省は、相手がのどに淋菌やクラミジアを持っていても、軽いキスであれば感染リスクは低いと考えられるとしています。一方でディープキスでは感染する可能性があります。オーラルセックスについては、口から性器へ、性器から口への二通りの感染がありうるとしています。心当たりがある場合は、のどはうがい液で検査できます。
1回の行為でのどに感染する確率を示した公的な数値はありません。参考として厚生労働省は、性器に淋菌が感染している人の10〜30%はのどにも感染していたとの報告(日本性感染症学会「性感染症診断・治療ガイドライン2020」)を紹介しています。当院で尿と咽頭の両方を検査した4,032検体では、尿(性器)が陽性だった263検体のうち66検体で咽頭も陽性でした(25.1%・2024年7月13日〜2026年8月31日)。いずれも検査を受けた方のうちの割合であり、1回の行為で感染する確率ではありません。
感染します。厚生労働省は、オーラルセックスには口から性器へ、性器から口への二通りの感染がありうるとしています。当院の実データでは、咽頭の淋菌が陽性だった188検体のうち122検体(64.9%)で尿(性器)は陰性でした。のどだけに感染しているケースが3分の2を占めるため、尿の検査だけでは気づけません。のどを調べるにはうがい液の検査が必要で、性器(尿)とのど(うがい液)は別の検査です。
オーラルセックスに心当たりがあるなら、尿(性器)とうがい液(咽頭)の両方をおすすめします。当院の実データでは、咽頭の淋菌が見つかった検体の64.9%は尿が陰性で、尿だけを調べていたら気づけないケースでした。のどに感染しても症状が出ないことが普通なので、症状の有無では判断できません。どちらも同じ受診時にまとめて採取でき、うがい液は専用の液体で約30秒うがいをするだけです。
参考文献
- 厚生労働省「オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/oralsex_qa.html
- 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン」https://jssti.jp/guideline_c.html
まとめ
咽頭淋病は感染力が非常に強く、近年国内で増加傾向にある性感染症です。
感染していても症状が風邪に似た軽微なもの、または無症状の場合が多く、感染に気付かないままパートナーに移ってしまっている可能性があります。
咽頭淋病は放置しても自然治癒することはなく、慢性的な咽頭炎や扁桃炎にまで悪化する可能性もあるため注意が必要です。
万が一、感染の可能性がある場合は、自身の健康とパートナーへの感染を防ぐために、早期発見・早期治療に努めましょう。
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この記事の監修者
大宅 裕之(おおたく ひろゆき)/川崎検査クリニック川崎院 院長。2021年 山口大学医学部卒業。山口赤十字病院での勤務を経て、2025年より川崎検査クリニックにて男性専門の性感染症外来に従事。2026年7月、同院長に就任。検査から治療までの診療を行っています。
最終更新日: 2026年9月14日






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