男性同士の性行為をしたあとに「性病がうつっていないか不安」「どこを検査すればいいのか分からない」と感じる方は少なくありません。とくにのどや肛門の感染は自覚症状が出にくいため、心当たりがあっても放置されやすいのが実情です。
この記事では、医療の現場で使われる「MSM」という用語の意味から、男性同士の性行為で感染しうる性感染症、検査すべき部位と採取方法、HIVの予防(PrEP)という選択肢までを、当院の実測データと公的資料をもとに整理します。当院は男性専門・予約不要・匿名(保険証不要)で検査を受けられます。
MSM(男性と性交渉をする男性)とは
MSMは「Men who have Sex with Men」の略で、日本語では「男性と性交渉をする男性」と訳されます。公的な統計や医学文献で使われる用語です。
ここで大切なのは、MSMは性的指向(ゲイ・バイセクシュアルなど)を表すラベルではなく、「どのような性行為をしているか」という行動にもとづく分類だという点です。自分をゲイやバイセクシュアルと考えていない方も、男性との性行為があればこの分類に含まれます。逆に、性的指向がゲイであっても性行為がなければ感染のリスクは生じません。
医療や公衆衛生でこの言い方をするのは、アイデンティティではなく行為ごとの感染リスクに応じて、必要な検査や予防を案内するためです。当院でも、来院された方の性的指向をお尋ねすることはありません。「どの部位に、どのような接触があったか」だけを確認し、必要な検査をご案内します。
男性同士の性行為で感染しうる性感染症
性感染症は「接触した部位」に感染します。男性同士の性行為ではオーラルセックス(口腔)とアナルセックス(肛門・直腸)が関わることが多く、そのため性器以外の部位の感染を見落としやすいという特徴があります。
| 接触した部位 | 主に注意したい感染症 |
|---|---|
| 尿道(性器) | クラミジア、淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマ |
| のど(咽頭) | 咽頭クラミジア、咽頭淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマ |
| 肛門・直腸 | 肛門クラミジア、肛門淋菌、尖圭コンジローマ(HPV) |
| 血液検査で調べるもの | HIV、梅毒、B型肝炎、C型肝炎 |
梅毒やヘルペス、尖圭コンジローマのように皮膚や粘膜の接触で感染するものは、コンドームで覆われていない部分から感染する可能性があります。アナルセックスそのもののリスクと安全に行うための注意点は、アナルセックスと性感染症の正しい知識で詳しく解説しています。
「症状がないから大丈夫」が通用しない理由|当院の実測データ
のどの感染は、ほとんど症状が出ません。当院(上野院)で実際に行った検査を集計すると、のどの検査で次の割合の方が陽性でした。
| のど(咽頭)の検査項目 | 陽性率 |
|---|---|
| クラミジア | 2.0%(1,784件中36件) |
| 淋菌 | 4.3%(1,753件中76件) |
| マイコプラズマ属 | 5.3% |
| ウレアプラズマ属 | 5.0% |
| 上記4菌種のいずれかが陽性 | 9.2%(1,619件中149件) |
また血液検査では、梅毒(TP抗体)が3.5%(1,292件中45件)で陽性でした。
※いずれも当院(上野院)の集計値で、集計期間は2024年7月13日〜2026年3月31日です。来院された方の検査結果であり、一般人口の有病率ではありません。
のどの4菌種いずれかで約11人に1人が陽性という数字は、症状の有無だけで判断するのが難しいことを示しています。心当たりのある行為があれば、症状がなくても検査を受けることをおすすめします。
検査すべき部位は1か所ではありません
尿の検査だけでは、のどや肛門の感染は分かりません。接触があった部位はすべて調べるのが基本です。採取方法は部位ごとに異なります。
| 部位 | 採取方法 |
|---|---|
| 尿道(性器) | 尿を採取します |
| のど(咽頭) | 専用の液でうがいをして採取します(痛みはありません) |
| 肛門 | 綿棒で肛門周辺をぬぐって採取します |
| HIV・梅毒・肝炎 | 採血します |
のどのクラミジア・淋菌・マイコプラズマ・ウレアプラズマはうがい液のみで採取するため、綿棒でのどをぬぐうことはありません(のどのHPV検査をご希望の場合のみ綿棒での採取になります)。
肛門・直腸の感染は見落とされやすい部位です。米国CDCの性感染症治療ガイドラインでも、直腸のマイコプラズマ・ジェニタリウム感染はMSMの1〜26%で報告されているとされています。肛門の検査内容は肛門性病検査(川崎院)/肛門の性病検査(上野院)でご案内しています。
検査できる項目とセットの組み合わせは検査項目・料金(川崎院)/検査メニュー・料金(上野院)をご覧ください。まとめて検査するほど1項目あたりの負担は下がります。
HIVの予防という選択肢|PrEP・DoxyPEP
検査で「今どうか」を確かめることと並んで、これから感染しないための予防という選択肢もあります。
- PrEP(プレップ)=あらかじめ薬を内服してHIV感染を予防する方法。詳しくはHIVの予防薬PrEPとは/HIV予防薬PrEP・PEP(上野院)
- DoxyPEP(ドキシペップ)=性行為後に抗菌薬を内服する方法。詳しくはドキシペップの基礎知識
いずれも適応・効果・副作用・費用があり、医師の診察のうえで判断する必要があります。当院で採用している薬剤には国内未承認のものが含まれるため、上記のページに記載した注意事項を必ずご確認ください。またPrEPは開始前にHIV検査が必要です。
プライバシーへの配慮
当院は自由診療のため、保険証は必要ありません。健康保険を使わないため、「医療費のお知らせ」に受診歴が残りません。匿名での受診に対応しており、性的指向をお尋ねすることもありません。
検査結果はWeb上でご確認いただけます。ご来院の理由を周囲に説明する必要はありません。
川崎院・上野院での検査の受け方
どちらの院も男性専門・予約不要・匿名(保険証不要)で、院内に検査体制を備えているため即日で結果をご案内できる項目があります。
川崎検査クリニック 川崎院
| アクセス | JR川崎駅 37番出口から徒歩30秒 |
|---|---|
| 診療時間 | 11:00〜14:30/15:30〜20:00(受付は閉院30分前まで・休診日なし) |
| 即日結果 | 14時までの採取で即日結果通知に対応する項目があります |
詳しくはアクセス・診療時間(川崎院)をご覧ください。
心当たりのある行為があれば、川崎院は予約不要・匿名で当日検査が可能です。 → WEB問診で来院準備をする(川崎院)
川崎検査クリニック 上野院
| アクセス | 東京メトロ上野御徒町駅から徒歩約2分/JR御徒町駅(北口)から徒歩約3分/JR上野駅から徒歩約4分 |
|---|---|
| 診療時間 | 11:00〜13:30/14:30〜20:00(受付は閉院30分前まで・年中無休) |
| 即日結果 | 院内に衛生検査所を併設し、即日で結果をご案内できる項目があります |
詳しくはアクセス・診療時間(上野院)をご覧ください。
上野・御徒町エリアでお探しの方は、上野院も予約不要・匿名で当日検査が可能です。 → WEB問診で来院準備をする(上野院)
よくある質問
「Men who have Sex with Men」の略で、日本語では「男性と性交渉をする男性」と訳されます。性的指向を表すラベルではなく、どのような性行為をしているかという行動にもとづく医療・公衆衛生上の分類です。自分をゲイやバイセクシュアルと考えていない方も、男性との性行為があればこの分類に含まれます。
接触があった部位はすべて調べるのが基本です。尿道は尿、のどはうがい液、肛門は綿棒で採取し、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎は採血で調べます。尿の検査だけではのどや肛門の感染は分かりません。
いいえ。のどのクラミジア・淋菌・マイコプラズマ・ウレアプラズマは専用の液でうがいをして採取するため、綿棒でのどをぬぐうことはありません。のどのHPV検査をご希望の場合のみ綿棒での採取になります。
のどや肛門の感染は症状が出にくいことが多いです。当院(上野院)の集計では、のどのクラミジア・淋菌・マイコプラズマ・ウレアプラズマのいずれかで9.2%の方が陽性でした。心当たりのある行為があれば、症状がなくても検査をおすすめします。
ありません。当院では性的指向をお尋ねしません。どの部位にどのような接触があったかだけを確認し、必要な検査をご案内します。
必要ありません。当院は自由診療のため保険証は不要で、健康保険を使わないため「医療費のお知らせ」に受診歴が残りません。匿名での受診に対応しています。
参考文献
- CDC「Mycoplasma genitalium – STI Treatment Guidelines」https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/mycoplasmagenitalium.htm
- 厚生労働省「性感染症」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/index.html
- API-Net エイズ予防情報ネット「HIV/エイズの基礎知識」https://api-net.jfap.or.jp/knowledge/index.html
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「性器クラミジア感染症」https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/chlamydia-std/index.html
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「淋菌感染症」https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/gonorrhoea/index.html
この記事の監修者
監修:川崎検査クリニック川崎院 院長 大宅裕之|最終更新日: {{APPLY_DATE}}

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