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感染する前に、できること。HIV(エイズ)予防薬「PrEP・PEP」

HIVに感染した方が、特定の疾患を発症した状態を「エイズ(AIDS)」といいます。
現在、HIV感染を防ぐ最も有効な方法として注目されているのが、HIV予防薬(PrEP・PEP)です。

「もし感染してしまったら…」という不安に応える手段として、正しく服用することで高い予防効果が期待でき、国内外で広く利用が進んでいます。

このページでは、HIV予防薬「PrEP・PEP」の効果・服用方法・費用について、分かりやすくご紹介します。

PrEP・PEPとは?──HIV予防薬の基本知識

HIV予防薬には、大きく分けて以下の2種類があります:

  • PrEP(プレップ):感染リスクのある行為の前から継続的に服用する予防薬
  • PEP(ペップ):感染の可能性がある行為の後に緊急的に服用する予防薬(※72時間以内)

いずれも、HIV感染を未然に防ぐことを目的としたお薬で、世界的にも高い予防効果が認められています。

HIV治療や予防に用いられる薬剤は、一般的に3つの有効成分を組み合わせた内服薬が主流です。
PrEPにはこのうち2種類の有効成分が含まれ、PEPには3種類すべてが含まれる薬剤が使用されます。
使用目的に応じて、成分や服用期間が異なる点が特徴です。

使用が推奨される方
・パートナーがHIV陽性の方(特に治療を受けていない/ウイルス量が検出される場合)
・性交渉の頻度が高い、または複数の性的パートナーがいる方
・肛門を使用した性行為がある場合
・過去に性感染症(STI)に感染したことがある方
・性交時にコンドームを使用しないことがある方
・性風俗関連業に従事している方
・針刺し事故などがあった場合(PEP)

内服ができない、もしくは内服に注意が必要な方
・既にHIVに感染されている方
・HIV感染の可能性がある方(未検査・不明な状態)
・B型肝炎ウイルス(HBV)に感染している方
・腎機能に問題がある方(腎障害、腎機能低下など)
・未成年の方

PrEP 曝露前予防(Pre-Exposure Prophylaxis)

PrEP(Pre-Exposure Prophylaxis/プレップ)は、
HIV感染のリスクが高い方が、あらかじめ予防薬を内服することで感染を防ぐ方法です。

たとえば以下のような方に、PrEPの使用が推奨されています:

  • セックスパートナーがHIV陽性である
  • 性交渉の頻度が高い、または複数のパートナーがいる
  • コンドームを使用しないことがある

このような場合、毎日の内服によってHIV感染を高い確率で防ぐことができます。

種類服用タイミング感染予防効果(目安)
デイリーPrEP毎日継続して服用約99.9%
オンデマンドPrEP性交の前後に合わせて内服約85%

※効果には個人差があり、服用方法・体調・感染リスクによって変動する可能性があります。

当院では、デシコビ(Descovy)のジェネリック医薬品である
『タフェロ(Tafero-EM)』 を採用しております。

なお、デシコビに関しては、オンデマンド使用時の有効性がまだ明確でない部分が多く
当院では原則としてデイリー使用(毎日内服)を推奨しております。

ご料金

1ヶ月分(HIV・B型肝炎・腎機能検査つき)9,800円
3ヶ月分(HIV・B型肝炎・腎機能検査つき)19,800円
6ヶ月分(HIV・B型肝炎・腎機能検査つき)36,800円

内服方法と注意事項

デイリーPrEPは原則毎日継続して服用する方法です。
※タフェロ(Tafero-EM)はオンデマンドPrEPの有効性が不確定な部分が多いので、
 当院ではオンデマンド使いは推奨しておりません。

服用時の注意事項
・毎日同じ時間に服用する
・飲み忘れた場合は、気づいた時点ですぐに1錠服用し、
 翌日からは通常通りの時間に内服を続けてください。※一度に2錠を内服することは避けてください。
・PrEPの使用前には、右記検査を受けていただきます:HIV・B型肝炎・C型肝炎・腎機能検査
・デイリーPrEPは、予防効果が安定するまでに約7日程度かかります
・他の性感染症には効果がありません。

服用をやめるタイミング
最後のリスク行為から最低でも2日間は服用を続けてから中止するようにしてください。
早めに中止すると、十分な予防効果が得られない可能性があります。

副作用について

PrEPの安全性は世界的にも認められており、副作用も比較的少ないと言われていますが、
以下のような副作用が生じる可能性があります:

  • 腎機能障害
  • 吐き気
  • 腹痛
  • 下痢 など

これらの副作用は、長くても1週間程度で自然に落ち着くことがほとんどです。

また、長期間の使用によって腎機能に影響が出る場合があります。
そのため、定期的な腎機能検査の実施をお願いしております。

服用にあたっての注意事項
・副作用の内容によっては、服用の中止が必要になる場合があります。
 ただし、自己判断で服用を中止したり、服用方法を変更しないようにご注意ください。
・体調に異変や不安を感じた場合は、速やかに医療機関へご連絡ください。

適用のある方

デイリーPrEP(毎日服用するHIV予防薬)は、
ヘテロセクシュアル(異性愛者)やMSM(男性間性交渉者)、トランスジェンダー女性をはじめ、
HIV感染リスクのあるすべての方に対して適用可能とされています。

当院で処方しているPrEPは、「タフェロ(Tafero-EM)」という薬剤です。
この薬剤は、原則としてオンデマンドPrEP(必要時のみの服用)には対応しておりません。
また、慢性B型肝炎をお持ちの方は、肝炎の再活性化などのリスクがあるため、オンデマンドPrEPの使用は推奨されていません。
これは、PrEPに含まれる成分(テノホビルなど)がB型肝炎の治療にも用いられる薬であるため、PrEPを中止した際にウイルスが再活性化し、肝炎が悪化する可能性があるためです。

PrEPを開始・中止する際は、必ず医師とご相談ください。

デイリーPrEP・オンデマンドPrEPのどちらも適用される方

以下の方は、デイリーPrEPとオンデマンドPrEPのいずれの方法も選択可能とされています:

  • MSM(男性間性交渉者)
  • 異性愛者のシスジェンダー男性
  • ホルモン治療を受けていないトランスジェンダー女性

それぞれの使用方法には適応条件や効果発現のタイミングが異なりますので、
ご自身にとって最適な方法については、医師との相談の上でご判断ください。

PEP 曝露後予防(post exposure prophylaxis)

PEP(Post-Exposure Prophylaxis/曝露後予防)は、HIV感染が懸念される行為の72時間以内に抗HIV薬を服用し、
約28日間継続して内服することで感染を防ぐ方法です。

通常はビクタルビ(Biktarvy)という薬が使われますが、先発医薬品のため1ヶ月あたり約20〜30万円と高額で、
予防手段としては負担が大きいのが実情です。

当院では、ビクタルビのジェネリック医薬品『タフィック(Taffic)』を採用しており、より費用を抑えてPEP治療を受けていただけます。

感染が心配な行為があった場合は、できるだけ早くご相談ください(72時間以内が目安です)。

ご料金

1ヶ月分(HIV・B型肝炎・腎機能検査つき)59,800円

内服方法

1日1回の服用を28〜30日間継続する必要があります。

注意事項
・毎日同じ時間に服用する
・飲み忘れた場合は、気づいた時点ですぐに1錠内服し、翌日からは通常通りの時間に服用を続けて下さい。    一度に2錠を服用しないようご注意ください。
・服用を始める前に、HIV・B型肝炎・C型肝炎・腎機能の検査を受けていただきます。
・EPはHIV感染の予防を目的とした薬であり、その他の性感染症には効果がありません。

副作用について

服用により吐き気などの副作用が起こる可能性がありますが、
多くの場合は制吐剤などで軽減できる程度の軽度な症状とされています。
副作用が出た場合でも、長くても1週間程度で落ち着くことがほとんどです。

注意事項
・副作用の内容によっては、服用を中止すべき場合もありますが、
 自己判断で中止したり、服用方法を変更することはお控えください。
・服用中に体調の異変や不調を感じた場合は、速やかに医療機関へご連絡ください。

対象の方

PEP(Post-Exposure Prophylaxis/曝露後予防)は、
ヘテロセクシュアルの方、MSM(男性と性的関係を持つ男性)、トランスジェンダー女性をはじめ、HIV感染リスクのあるすべての方に適用可能な予防方法です。

妊娠中または妊娠の可能性がある方へ
妊娠中、または妊娠の可能性がある場合には、胎児への影響も考慮する必要があります。
そのため、PEPの使用にあたっては、産婦人科医やかかりつけ医にご相談のうえ、適切な対応を受けることが重要です。

事前検査とフォローアップ検査について

PrEPやPEPを安全かつ効果的にご利用いただくために、
使用前の「事前検査」と、使用後の「フォローアップ検査」の実施を推奨しております。

事前検査について

予防薬を使用する前には、すでに性感染症に感染していないかどうかを確認することが重要です。
特に、性感染症に感染した状態で予防薬を服用すると、薬が効かない「耐性菌」が生まれるリスクがあります。

この「耐性菌」とは、抗生物質が効かなくなった細菌のことを指します。
耐性菌の拡大によって、淋菌やクラミジアなどに対して効果的な治療薬が減ってきており、
治療が難しくなる、あるいは治療そのものができなくなる可能性もあります。

そのため当院では、すべての方に対して予防薬使用前の事前確認検査を必須とさせていただいております。

フォローアップ検査について

予防薬の効果は高いものの、100%感染を防げるわけではありません。
そのため、服用後も一定期間のあいだ、定期的なフォローアップ検査を受けていただくことが大切です。

また、以下のようなケースにも注意が必要です:

B型肝炎ウイルスに感染している方:PrEPやPEPの使用を中止した後に、肝炎の症状が悪化することがあります。特に慢性B型肝炎の場合は、重篤な症状につながることもあります。

腎機能に不安がある方:予防薬が腎機能に影響を与える可能性があるため、服用後の定期的な検査が大切です。

PrEP・PEPは、感染予防という大きなメリットがある一方で、体への影響なども含めて適切な管理が必要です。
そのため、医師の指導のもと、定期的な検査を行いながら安全にご利用いただくことが望まれます。

PrEPの事前検査・フォローアップ検査

ガイドライン(情報元:日本エイズ学会)に則りPrEP使用の際は、
下記の表のタイミングで事前検査/フォローアップ検査の受検をお願いいたします。

PEPの事前検査・フォローアップ検査

PEPも同様に下記の表のタイミングで事前検査/フォローアップ検査の受検をお願いいたします。

処方の流れ

STEP
問診・診察

性交渉歴や既往歴・アレルギーなどをお伺いし、
HIV感染のリスクおよびPrEP/PEP療法の適応を判断します。

STEP
検査

既にHIVに感染している場合や、B型肝炎感染者、腎機能に問題がある場合は、
内服できない場合や、慎重投与となる可能性がございます。
その他の性感染症についても、感染があるとHIVや梅毒等の感染リスクを高めるだけでなく、
性行為のお相手に移してしまうリスクもあるため、
安全に予防薬を使用いただくためにも先に必ず検査を実施いたします。

STEP
お薬の処方

内服する上での注意事項・副作用について説明を行った後、
お薬を院内にて処方いたします。
処方後は用法用量を厳守の上、内服をお願いいたします。

STEP
会計

最後にお会計になります。
下記の決済方法がご使用いただけます。

STEP
フォローアップ検査

ガイドラインに則り、HIV予防内服薬をご利用の方には、以下のスケジュールで定期検査の受診をお願いいたします。

HIVの検査は
内服開始時・内服1ヶ月後・内服3ヶ月後・以降3ヶ月ごと(PrEP継続中)の定期検査をお願いいたします。

腎機能検査は
6ヶ月ごと もしくは 12ヶ月ごと の定期検査をお願いいたします。

また、状況に応じて
B型肝炎ウイルス検査や、その他の性感染症検査(クラミジア・淋菌など)も必要となる場合がございます。

HIVとMSMの関係について

2024年、日本で新たに報告されたHIV感染者の数は、厚生労働省の速報値で約1,000人とされています。
これは、3年ぶりの増加傾向であり、感染拡大への警戒が再び求められています。

現在、日本国内で報告されているHIV感染者のおよそ9割が、
MSM(Men who have Sex with Men/男性間で性交渉を行う方)による感染とされています。
特に20代〜30代の若年層
における感染が増加傾向にあることも大きな特徴です。

MSMにおける感染リスクの高さ

MSM間の性行為においては受ける側(受け手)の方が、HIV感染のリスクが特に高い傾向にあります。

その理由として、以下のような要因が挙げられます:

  • 肛門の粘膜は非常に繊細で傷つきやすい
  • 傷ついた粘膜からウイルスが侵入しやすくなる
  • 性行為中の摩擦による小さな損傷でも感染リスクが高まる

実際、下記の表にあるように、HIV感染率の比較において「肛門に挿入される側」は、他の性行為よりもはるかに高い感染率を示しています。

種類推定感染率
肛門性交(受け手側/ネコ)約1.38%
肛門性交(挿入側/タチ)約0.11%
膣性交(女性側)約0.08%
膣性交(男性側)約0.04%
オーラルセックスデータなし(非常に低い)
針刺し事故約0.3%

この表からも分かるように、肛門性交の受け手側は、他の性行為と比較して極めて高い感染リスクがあることがわかります。

その他の性感染症との関係

HIVに限らず、MSM間での性行為ではその他の性感染症(淋菌、クラミジアなど)の感染リスクも高くなります。

特に、肛門にこれらの性感染症がある状態で性行為を行った場合、HIV感染リスクが3〜5倍に上昇するとも言われています。
これは、粘膜が炎症を起こすことで、ウイルスが体内に侵入しやすくなるためです。

そのため、ご自身の健康を守り、安心して性行為を行うためにも、
定期的な検査の受診、正しい避妊具の使用、予防薬(PrEPなど)の活用など、
適切な感染症予防策を実践していくことが大切です。

女性のPrEP/PEP使用について

女性の方でも、PrEP(HIV曝露前予防内服薬)やPEP(HIV曝露後予防内服薬)を使用することは可能です。
しかしながら、女性特有の体の特性により、使用に際していくつかの注意点や制限があります。

■ 女性におけるPrEPの使用について

PrEPの場合、
男性ではおよそ7日間の服用で薬剤の予防効果が十分に発揮されるとされていますが、
女性の場合、膣組織への薬剤の浸透に約3〜4週間かかると報告されています。

このため、女性においては以下のような対応が必要です:

  • 「デイリー使用(毎日服用)」のみが推奨されており、オンデマンド使用(必要時のみの服用)は適用外です。
  • また、月経期間中の一時的な休薬も推奨されません。

十分な予防効果を得るためには、継続的で正確な服用が重要となります。

■ ご相談はお気軽に

HIV予防や性感染症のことは、なかなか周囲に相談しづらいという方も少なくありません。
当院では、性感染症に特化した医師や経験豊富なカウンセラーが、
女性ならではのお悩みにも丁寧に対応いたします。

一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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