オナホールなどの器具を自分専用で使い、他の人と共用しないのであれば、器具そのものから性感染症に感染することは基本的にありません。性感染症は人から人へ、粘膜や皮膚の接触を通じて伝わるものだからです。
リスクが生じるのは、①他の人と共用した・使い回した ②洗浄が不十分だったという場面です。とくに②で起こりやすいのは性感染症ではなく、細菌や真菌による亀頭包皮炎などの炎症です。このページでは、どこにリスクがあり、どこには無いのかを公的資料に沿って整理します。
一人で使う分にリスクが低いのはなぜか
性感染症の病原体は、人の体の外では長く生きられません。たとえば梅毒の原因菌である梅毒トレポネーマについて、国立健康危機管理研究機構(JIHS)は「本菌の宿主はヒトのみである。また本菌は酸素に弱く、体外では非常に短時間しか生存できない」と説明しています。
つまり、自分専用の器具に性感染症の病原体がひとりでに発生することはありません。感染が成立するには、そもそも病原体を持っている人との接触が必要です。「オナホを使っていたら性病になった」という心配の多くは、同じ時期にあった性的接触のほうが原因か、あるいは次に述べる性感染症以外の炎症であることが少なくありません。
リスクが生じるのはこの3つの場面
1. 他の人と共用する・使い回す
体液や血液が付着した器具を共有すると、性感染症だけでなく、肝炎などの血液を介した感染症のリスクも高まります。複数のパートナーと器具を共有する場合は、さまざまな性感染症の感染リスクが高まるため注意が必要です。
器具は清潔に保ち、使い捨てできるものは再利用しないことが基本です。器具を介した感染の考え方はアナルセックスと性感染症の正しい知識でも解説しています。
2. 洗浄が不十分なまま繰り返し使う
洗浄が不十分だと、前回の使用で付着した細菌やウイルスが残存し、次の使用時に感染源となる可能性があります。ここで問題になりやすいのは性感染症ではなく、皮膚の常在菌やカンジダなどによる炎症です。
湿った器具を洗わずに放置すれば細菌が増えやすくなり、粘膜への刺激も加わって亀頭包皮炎を起こすことがあります。使用のたびに専用の洗浄剤や石鹸で洗い、しっかり乾かしてから保管してください。症状と対処は包皮炎が治らない原因は?治療法・予防法や受診の目安にまとめています。
3. 手指を介した接触
頻度は高くありませんが、JIHSは尖圭コンジローマ(HPV)について「主な感染経路は性行為を中心とした粘膜を介した接触である。まれに手指を介した幼児への感染や分娩時の垂直感染もみられる」としています。手指を介した接触でも感染が起こりうるということです。器具の使用前後には手を洗いましょう。
心当たりのある接触があった方は、WEB問診(1分・匿名可能)から受診の準備ができます。
使ったあとに症状が出たとき、何を疑うか
器具の使用後に赤み・かゆみ・ぶつぶつ・痛みが出た場合、次のどちらかであることが多く、見た目だけでは区別がつきません。
- 性感染症以外の炎症|洗浄不足や摩擦による刺激、細菌・真菌による亀頭包皮炎など。器具の使用そのものより衛生管理と摩擦が関係します。亀頭のぶつぶつの原因は?症状・治療法もあわせてご覧ください。
- 性感染症|同じ時期に性的接触があった場合は、そちらが原因である可能性があります。器具の使用と時期が重なっていると混同しやすいので、接触の有無と時期を整理してみてください。
どちらであっても、確かめる方法は検査です。
検査を受けられる時期
性的接触に心当たりがある場合、感染してすぐは検査で判定できない期間があります。当院の基準は次のとおりです。
| 検査項目 | 接触から検査を受けられる時期 | 採取するもの |
|---|---|---|
| クラミジア/淋菌/マイコプラズマ/ウレアプラズマ | 24時間以上 | 尿(のどはうがい液) |
| トリコモナス | 24時間以上 | 尿 |
| カンジダ | 24時間以上 | 尿・皮膚擦過 |
| ヘルペス | 24時間以上 | 視診または皮膚擦過(抗原検査) |
| 梅毒(TP抗体・RPR定量) | 1か月後 | 血液 |
| HIV | 4週間 | 血液 |
| B型肝炎/C型肝炎 | 感染機会より2ヶ月 | 血液 |
| HPV(尖圭コンジローマ) | イボ・できものなどの症状が出た時点 | 皮膚擦過(綿棒)ほか |
結果が出るまでの目安と、当日結果をご希望の場合の採取締切は次のとおりです。
- 約10分: 簡易ヘルペス検査(皮膚擦過・抗原検査)
- 当日19時頃(13:00までの検体採取): 淋菌・クラミジア・マイコプラズマ・ウレアプラズマ/梅毒TP抗体/HIVスクリーニング
- 2日以降: 一般細菌・カンジダ・トリコモナス・細菌定性検査(尿)が最短2〜5日、HPV型別検査が最短4〜17日
即日検査をご希望の場合、13:00までの検体採取で最短当日19時頃に結果をお知らせします(14:30以降の採取は翌日19時まで)。
検査できる項目とセットの組み合わせは検査メニュー、費用は料金一覧にまとめています。
上野院での受け方
予約は不要です。検査・治療は自由診療(匿名検査)のため、保険証のご提示も必要ありません。行為の詳細をお話しいただく必要もありません。
診療時間(上野院): 11:00〜13:30/14:30〜20:00(休診日なし・土日祝も同じ時間帯)
アクセス: JR上野駅 徒歩4分/上野御徒町駅 徒歩2分/JR御徒町駅 徒歩3分
よくある質問
自分専用で使い、他の人と共用しないのであれば、器具そのものから性感染症に感染することは基本的にありません。性感染症の病原体は体外で長く生きられず、たとえば梅毒トレポネーマについて国立健康危機管理研究機構(JIHS)は、宿主はヒトのみで酸素に弱く体外では非常に短時間しか生存できないと説明しています。一方、洗浄が不十分なまま繰り返し使うと、細菌や真菌による亀頭包皮炎などの炎症が起こることはあります。
洗わないことが直接の原因で性感染症になるわけではありません。ただし洗浄が不十分だと、前回の使用で付着した細菌やウイルスが残存し、次の使用時に感染源となる可能性があります。実際に起こりやすいのは性感染症ではなく、皮膚の常在菌やカンジダによる亀頭包皮炎などの炎症です。使用のたびに洗浄し、しっかり乾かしてから保管してください。
リスクを下げることはできますが、完全に防げるわけではありません。厚生労働省は、コンドームの使用で感染のリスクを下げることができるとしたうえで、性器周辺の皮膚どうしの接触でも感染がありうる感染症(単純ヘルペス感染症など)では防ぎきれないこともあると説明しています。器具を使う場合も、共用しないことと使用のたびに洗浄することが基本になります。
一つに絞ることはできませんが、放置したときの影響が大きいものとして梅毒とHIVが挙げられます。梅毒は未治療のまま進行すると、ゴム腫や心血管症状が出現し、神経症状を伴うこともあります。いずれも早期に見つければ治療の選択肢があるため、重症度を心配するより、心当たりのある時期に合わせて検査を受けることが大切です。
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「梅毒」https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/syphilis/index.html
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「尖圭コンジローマ」https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/condyloma-acuminatum/index.html
- 厚生労働省「オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/oralsex_qa.html
- 厚生労働省「性感染症」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/index.html
この記事の監修者
大宅 裕之(おおたく ひろゆき)/川崎検査クリニック川崎院 院長。2021年 山口大学医学部卒業。山口赤十字病院での勤務を経て、2025年より川崎検査クリニックにて男性専門の性感染症外来に従事。2026年7月、同院長に就任。検査から治療までの診療を行っています。
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