「性病の治療をしたのに症状が治らない…」
このような経験をする方は少なくありません。
今回は「なぜ治療したのに症状が良くならないのか」、また「このような事態を防ぐためにどうすべきか」をお話しします。
性病の検査は複数項目受けたい理由
性病感染の疑いが心配な方は、複数項目の検査を受けましょう。特定の性病検査だけでは、「重複感染」に気づくことができません。
1項目だけの検査では見落としが起こる
性感染症は、症状のあらわれ方が似ているため、症状だけで原因となっている病原体を見分けることが難しい病気です。たとえば排尿時の痛みや尿道からの分泌物は、淋菌・クラミジア・マイコプラズマ・ウレアプラズマなど複数の病原体で共通して起こります。1項目だけを調べて陰性だった場合、ほかの病原体が原因である可能性が残ります。症状ごとの目安は性感染症の症状一覧、尿道の症状については尿道の違和感の原因もあわせてご覧ください。
心当たりのある行為があった方、治療後も症状が残っている方は、来院前にWeb問診を済ませておくと院内での待ち時間を短縮できます。→ 事前Web問診に進む(予約不要・匿名可)
性病に重複感染するとどうなる?

性病は、一度に複数感染することがあります。いわゆる、「重複感染」です。
重複感染に気づかずに、ある特定の性病だけを治療しても、
- 排尿痛が治まらない
- 膿が治らない
- かゆみが止まらない、など
といった事態に陥りかねません。
治療後も症状が続くときに考えられること
処方された薬を指示どおり飲み切っても症状が残る場合、治療の対象になった病原体以外にも感染していた(重複感染)、パートナーの検査・治療が済んでおらず再び感染した、といった可能性が考えられます。いずれの場合も、自己判断で市販薬を使ったり様子を見たりせず、医療機関にご相談ください。
性病の重複感染の具体例

淋菌とクラミジアの重複感染について、WHOは淋菌感染者の10〜40%でクラミジアの重複感染が検出されるとしています。日本の全国レセプトデータ(NDB)を用いた研究では、2017〜2020年の淋菌感染者におけるクラミジアの併存率は男性33.8〜38.1%、女性37.9〜40.8%でした。
梅毒とHIVも重複することがあります。米国で2016年に報告された早期梅毒(第1期・第2期)症例のうち、HIVの検査状況が判明していた症例では38.5%にHIV感染が認められ、MSM(男性と性交渉をする男性)では47.0%でした。
ただし梅毒とHIVの数字は米国の特定の患者集団におけるもので、日本の梅毒患者にそのまま当てはめられるものではありません。いずれの割合も「どの集団を、どの方法で調べたか」によって変わります。目安として受け取り、心当たりのある行為があれば複数の項目をまとめて検査することをおすすめします。
出典:WHO「Diagnostics for gonococcal antimicrobial resistance」/Yamaguchi N, et al. The Proportion of Coinfections Among Sexually Transmitted Infections in Japan: A Nationwide Claims Database Study. Open Forum Infect Dis. 2025;12(7):ofaf393./Kidd S, et al. Reported Primary and Secondary Syphilis Cases in the United States: Implications for HIV Infection. Sex Transm Dis. 2018;45(9S Suppl 1):S42-S47.
梅毒・HIVについては、梅毒の検査・治療、HIVの初期症状もあわせてご覧ください。
当院で目立つのは淋菌とマイコプラズマの組み合わせ
当院で目立つのは、「淋菌」と「マイコプラズマ」の重複感染です。
マイコプラズマやウレアプラズマは、淋菌・クラミジアの検査だけでは分かりません。淋菌の治療を受けたあとも症状が残る場合に、検査項目を追加してはじめて見つかることがあります。菌種や検査の詳細はマイコプラズマ・ウレアプラズマの解説記事をご覧ください。
上野院の実測データ|のど(咽頭)の陽性率
のど(咽頭)の感染は自覚症状が出にくく、検査をして初めて分かることが少なくありません。以下は上野院で実施したのど(咽頭)の検査結果の実測値です(集計期間: 2024年7月13日〜2026年8月31日)。これは各検査項目の陽性率であり、重複感染そのものの割合ではありません。
| 検査項目(のど・咽頭) | 検査件数 | 陽性件数(陽性率) |
|---|---|---|
| クラミジア | 2,243件 | 49件(2.2%) |
| 淋菌 | 2,198件 | 101件(4.6%) |
| マイコプラズマ属(2菌種の合算) | 2,073件 | 109件(5.3%) |
| ウレアプラズマ属(2菌種の合算) | 2,096件 | 119件(5.7%) |
| 上記4菌種のいずれかが陽性 | 2,011件 | 192件(9.5%) |
※マイコプラズマ属はジェニタリウムとホミニス、ウレアプラズマ属はウレアリティカムとパルバムの2菌種を合算した値です。「いずれかが陽性」は、同じ検体で複数の菌種が陽性になることがあるため単純合計ではなく、重複を除いて集計しています。
なお、血液検査による梅毒(TP抗体)は1,577件中55件(3.5%)が陽性でした。
のどの検査のうち、クラミジア・淋菌・マイコプラズマ・ウレアプラズマは専用の液でうがいをして採取するため、綿棒でのどをぬぐうことはありません(のどのHPV検査をご希望の場合のみ綿棒での採取になります)。採取方法は検査方法のご案内、のどの感染についてはフェラチオで感染する性病で詳しく説明しています。
治療後に別の病原体が見つかる流れ
たとえば、淋菌の治療を受けたあとも排尿時の違和感が残り、あらためて検査項目を追加したところマイコプラズマが見つかる、という経過があります。これは特定の方の治療経過ではなく、一般的に起こりうる流れとしてご説明しているものです。はじめから複数項目をまとめて検査しておくと、こうした二度手間を避けやすくなります。
上野院での検査の受け方
上野院は予約不要・匿名で検査を受けていただけます。検体は調べたい項目によって異なり、尿・うがい液・血液・患部の擦過などを用います。
検査項目と料金は検査メニューと料金表をご確認ください。性感染症の検査・治療は自由診療となり、費用は全額自己負担です。結果のお知らせ時期は検査結果のお知らせについてにまとめています。
アクセスはJR上野駅から徒歩4分、JR御徒町駅から徒歩3分、上野御徒町駅から徒歩2分です。診療時間は11:00〜13:30/14:30〜20:00(受付は閉院30分前)、年中無休で診療しています。詳しくはアクセス・診療時間をご覧ください。
検査をお考えの方は、来院前にWeb問診を済ませておくとスムーズです。→ 事前Web問診に進む(予約不要・匿名可)
最後に|複数項目の性病検査を受けるのが理想的
症状が治らない背景に、重複感染が隠れていることがあります。心当たりのある行為があった方、治療後も症状が残っている方は、必要な項目をまとめて検査することをおすすめします。
よくある質問
複数の性感染症に同時に感染している状態のことです。ある病原体だけを治療しても、別の病原体が残っていると症状が続くことがあります。
自己判断で市販薬を使わず、医療機関にご相談ください。上野院では検査項目を追加して、ほかの病原体が関与していないかを確認できます。
心当たりのある行為や症状によって必要な項目が変わります。迷われる場合は複数項目をまとめたセット検査からお選びいただけます。検査メニューのページで項目と料金をご確認ください。
上野院ののどの検査のうち、クラミジア・淋菌・マイコプラズマ・ウレアプラズマは専用の液でうがいをして採取するため、綿棒でのどをぬぐうことはありません。のどのHPV検査をご希望の場合のみ綿棒での採取になります。
上野院は予約不要・匿名での受診に対応しています。来院前に事前Web問診を済ませておくと、院内での待ち時間を短縮できます。
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「淋菌感染症」https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/gonorrhoea/index.html
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「性器クラミジア感染症」https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/chlamydia-std/index.html
- 厚生労働省「性感染症」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/index.html
- WHO「Diagnostics for gonococcal antimicrobial resistance」https://www.who.int/teams/global-hiv-hepatitis-and-stis-programmes/stis/testing-diagnostics/diagnostics-for-gonococcal-antimicrobial-resistance
- Yamaguchi N, Noda T, Nishioka Y, Myojin T, Kasahara K, Imamura T. The Proportion of Coinfections Among Sexually Transmitted Infections in Japan: A Nationwide Claims Database Study. Open Forum Infect Dis. 2025;12(7):ofaf393.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40704171/
- Kidd S, Torrone E, Su J, Weinstock H. Reported Primary and Secondary Syphilis Cases in the United States: Implications for HIV Infection. Sex Transm Dis. 2018;45(9S Suppl 1):S42-S47.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29465633/
この記事の監修者
監修: 川崎検査クリニック川崎院 院長 大宅 裕之(おおたく ひろゆき)
2021年 山口大学医学部卒業。山口赤十字病院での勤務を経て、2025年より川崎検査クリニックにて男性専門の性感染症外来に従事。2026年7月、同院長に就任。検査から治療までの診療を行っています。
最終更新日: 2026年9月14日

