HPVワクチンは女性が接種するワクチンとして知られていますが、男性も接種できます。HPV(ヒトパピローマウイルス)は主に性行為によって感染し、男性では肛門がんや尖圭コンジローマの原因となることがあります。このページでは、男性がHPVワクチンを検討するうえで知っておきたいHPVの特徴と、当院で取り扱っている2種類のワクチン(4価ガーダシル・9価シルガード9)の違いを、添付文書と公的機関の情報にもとづいて解説します。

HPVの特徴と男性もHPVワクチンを接種すべき理由
HPVはヒトパピローマウイルスといい
主に性行為によって感染します。
性行為の経験がある約80%の女性、
男性の90%以上が生涯で一度は感染すると
考えられているウイルスです。
そのため過去に一度でも
性交渉の経験がある人であれば
誰でも感染している可能性があります。
HPVは、男性では肛門がんや尖圭コンジローマの原因となることがあります。
ただしこれは「肛門がんや尖圭コンジローマになった人のうち、HPVが原因である割合が高い」という意味であり、HPVに感染した人がその確率でこれらの病気になる、という意味ではありません。
HPVワクチンはヒトパピローマウイルスの
感染を防ぐと同時に男性では将来の肛門がんや尖圭コンジローマの予防になります。

助成金を受けられます!
東京都中野区では中野区在住の小学6年生から高校1年生相当の男子を対象に
HPVワクチンの任意接種費用が全額助成(無料)されています。
2026年4月1日からは4価ガーダシルに加えて9価シルガード9も助成の対象になりました。
今後、自治体の助成がどんどんひろがり
ゆくゆくは定期予防接種となれば
より健康に過ごせる社会となっていくことと
思います。
※助成の対象年齢・回数・金額や実施状況は自治体ごとに異なり、変更されることがあります。最新の情報はお住まいの自治体の公式サイトでご確認ください(中野区の内容は2026年8月20日時点)。

男性がHPVワクチンで予防できる病気
肛門がん・尖圭コンジローマとHPVの関係
男性でHPVが関係する代表的な病気が、尖圭コンジローマと肛門がん(扁平上皮癌)およびその前駆病変です。尖圭コンジローマは主にHPV6型・11型が原因となり、性器や肛門の周囲にとがったいぼ(鶏冠状・乳頭状の隆起)ができます(出典: 国立健康危機管理研究機構「尖圭コンジローマ」)。一方、肛門がんは16型・18型といった高リスク型HPVの感染が持続した場合に関係します。
ここで誤解されやすいのが、「これらの病気になった人のうちHPVが原因である割合」と「HPVに感染した人が発症する確率」は別のものだという点です。HPVは性交経験のある人の多くが一度は感染するありふれたウイルスであり、感染した人の全員がこれらの病気になるわけではありません。
その「病気のうちHPVが原因である割合」については、米国CDCが具体的な数値を示しています。HPVは肛門がんと子宮頸がんの90%以上、腟がん・外陰がんの約70%、陰茎がんの60%の原因になっていると考えられるとされています。
一方、「感染したらどうなるか」については、同じCDCがHPV感染の10件中9件は2年以内に自然に消え、健康上の問題を起こさないとしています。問題になるのは感染が長く続いた場合です。
つまり「HPVに感染すると肛門がんが◯%の確率で起こる」という読み方は誤りです。90%以上という数字は肛門がんになった人のうちHPVが関係している割合を指します。あわせて、いぼ(尖圭コンジローマ)を起こすHPVの型と、がんを起こす型は別のものです(CDC)。
男性の尖圭コンジローマの症状や治療については 男性の尖圭コンジローマ(性器のいぼ) で詳しく解説しています。
すでに感染しているHPVを治す効果はありません
HPVワクチンはこれから起こる感染を防ぐためのワクチンです。ガーダシルの添付文書には、効能又は効果に関連する注意として次の内容が記載されています。
- 接種時に感染が成立しているHPVの排除、及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない
- HPV6、11、16及び18型以外のHPV感染に起因する肛門癌(扁平上皮癌)又はその前駆病変等の予防効果は確認されていない
- 扁平上皮癌以外の肛門癌に対する予防効果は確認されていない
- 本剤の予防効果の持続期間は確立していない
つまり、いぼや違和感などの症状がすでにある場合は、ワクチンではなく診察・検査が必要です。また接種を検討している段階で気になる症状や心当たりのある行為がある場合も、まず現在の状態を確認しておくと安心です。
心当たりのある行為があれば、上野院なら予約不要・匿名で当日検査が可能です。→ 事前Web問診に進む
当院で取り扱っているHPVワクチン
4価ガーダシルと9価シルガード9の違い
| 項目 | 4価 ガーダシル | 9価 シルガード9 |
|---|---|---|
| 予防の対象となるHPV型 | 6・11・16・18型 | 6・11・16・18・31・33・45・52・58型 |
| 接種できる年齢 | 9歳以上(添付文書の用法及び用量に男女の区別なし) | 9歳以上(2025年8月に9歳以上の男性へ接種対象が拡大) |
| 男性への接種 | 承認された効能・効果の範囲内で接種できます | 2025年8月25日の適応追加により、承認された効能・効果の範囲内で接種できます |
| 公費(定期接種)の対象 | 男性は対象外(自費・任意接種) | 男性は対象外(自費・任意接種) |
どちらのワクチンも男性が接種できますが、カバーするHPVの型の数が異なります。ガーダシルの用法及び用量は「9歳以上の者に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射する(通常、2回目は初回接種の2か月後、3回目は6か月後)」とされています。接種スケジュールは年齢やワクチンの種類によって異なる場合があるため、どちらを選ぶかとあわせて医師にご相談ください。
HPVワクチン
当院で取り扱いのある
4価HPVワクチンガーダシルは
HPV(ヒトパピローマウイルス)
6、11、16及び18型の感染に起因する以下の疾患の予防
・子宮頸癌(扁平上皮癌及び腺癌)及びその前駆病変
(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)1、2及び3並びに上皮内腺癌(AIS))
・外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2及び3並びに腟上皮内腫瘍(VaIN)1、2及び3
・肛門癌(扁平上皮癌)及びその前駆病変(肛門上皮内腫瘍(AIN)1、2及び3)
・尖圭コンジローマ
上記に対する予防の効果が確認されております。
薬事承認を受けているため
予防接種を受けたことによる
健康被害が起きた場合には独立行政法人
医薬品医療機器総合機構法に基づく
補償の対象となる場合があります。
当院で取り扱いのある
9価HPVワクチンシルガード9は
ヒトパピローマウイルス
6、11、16、18、31、33、45、52及び58型の感染に起因する以下の疾患の予防
・子宮頸癌(扁平上皮癌及び腺癌)及び
その前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)1、2及び3並びに上皮内腺癌(AIS))
・外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2及び3並びに腟上皮内腫瘍(VaIN)1、2及び3
・尖圭コンジローマ
上記に対する予防の効果が確認されております。
さらに2025年8月25日、シルガード9は肛門癌(扁平上皮癌)及びその前駆病変(肛門上皮内腫瘍)並びに男性における尖圭コンジローマの予防について効能・効果が追加され、9歳以上の男性への接種対象拡大が承認されました。
ただし、公費で受けられる定期接種の対象は小学校6年生から高校1年生相当の女子(およびキャッチアップ接種の対象者)であり、男性の接種は定期接種の対象外です。そのため男性のHPVワクチン接種は自費(任意接種)となり、予防接種法に基づく「予防接種健康被害救済制度」の対象にはなりません。承認された効能・効果の範囲内での接種によって健康被害が生じた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく「医薬品副作用被害救済制度」による救済の対象となる場合があります。
当院ではどちらも取り扱いがございますので
お気軽にお問い合わせください。
男性で予防が期待される疾患(添付文書の記載より)
上に挙げた効能・効果には、子宮頸癌・外陰上皮内腫瘍・腟上皮内腫瘍といった女性の疾患も含まれています。男性の接種で予防が期待されるのは、このうち次の2つです。
- 肛門癌(扁平上皮癌)及びその前駆病変(肛門上皮内腫瘍(AIN)1、2及び3)
- 尖圭コンジローマ
自治体の助成と費用について
男性へのHPVワクチン接種は定期接種(公費)の対象外で、原則として自費(任意接種)です。ただし東京都内には、独自に男性への任意接種費用を助成している自治体があります。
上野院のある台東区にも男性への助成があります
当院が所在する東京都台東区でも「男性向けHPVワクチン任意接種費助成」が実施されています。台東区の公式サイトによると、内容は次のとおりです(2026年8月20日時点)。
| 対象者 | 台東区在住の小学6年生から高校1年生相当の男性 |
| 助成回数 | 3回まで |
| 費用 | 無料(全額助成) |
| 対象ワクチン | 4価ガーダシル/9価シルガード9(2026年4月1日から) |
| 接種場所 | 区内の協力医療機関。区外で接種した場合は全額自己負担 |
助成を利用するには、事前に区へ申請して予診票の発行を受け、区が指定する協力医療機関で接種する必要があります。申請方法や協力医療機関の一覧は台東区の公式ページでご確認ください。
なお当院は台東区の協力医療機関ではないため、当院でのHPVワクチン接種は助成の対象外(自費)となります。助成のご利用をご希望の方は、台東区の公式ページで協力医療機関をご確認のうえ、そちらでの接種をご検討ください。
成人男性の接種は自費(任意接種)になります
ここまでご紹介した台東区・中野区の助成は、いずれも対象が小学6年生から高校1年生相当に限られています。したがって成人の男性がHPVワクチンを接種する場合は、原則として自費(任意接種)となります。
お住まいの区市町村に男性への助成があるかどうかは、東京都保健医療局のHPVワクチン男性接種 区市町村情報ページで一覧を確認できます。制度の内容は年度によって変わることがあるため、接種前に各自治体の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
当院での接種費用や検査の料金は 料金表 と HPV検査・HPVワクチンのご案内 でご確認いただけます。
HPVワクチン・HPV検査のご相談
当院(川崎検査クリニック上野院)はJR上野駅から徒歩4分・御徒町駅から徒歩3分の場所にあり、予約不要・匿名での性感染症検査に対応しています。HPVワクチンの接種をご希望の方、いぼや違和感などの症状が気になる方は、まずご相談ください。
- HPV検査・HPVワクチンの詳細 → HPV検査・HPVワクチンのご案内
- 検査できる項目 → 性病検査メニュー
- 検査の方法・検体の採り方 → 検査方法について
ご来院前にWeb問診を済ませておくと、当日の受付がスムーズです。→ 事前Web問診に進む
参考文献・出典
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ガーダシル水性懸濁筋注シリンジ 添付文書」(2026年4月改訂・第6版/効能又は効果、効能又は効果に関連する注意、用法及び用量)
- MSD株式会社「9価HPVワクチン「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ」肛門癌の予防の適応追加と男性への接種対象拡大について承認を取得」(2025年8月25日)
- 厚生労働省「HPVワクチンについて」(定期接種の対象、キャッチアップ接種)
- 厚生労働省「9価HPVワクチンについて」
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「尖圭コンジローマ」(原因となるHPV型、症状)
- CDC「Basic Information about HPV and Cancer」(2024年9月17日/HPVが原因とされるがんの割合)
- CDC「About Genital HPV Infection」(2025年1月31日/感染の自然消退、いぼを起こす型とがんを起こす型の違い)
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品副作用被害救済制度に関する業務」
- 台東区「男性向けHPVワクチン任意接種費助成」(更新日 2026年6月24日/対象者、助成回数、費用、対象ワクチン、接種場所)
- 中野区「男子に対するHPV任意予防接種費用助成」(更新日 2026年5月1日/対象者、助成金額、対象ワクチン)
- 東京都保健医療局「HPVワクチン男性接種 区市町村情報ページ」
記事監修
大宅 裕之(おおたく ひろゆき)/川崎検査クリニック川崎院 院長
2021年 山口大学医学部卒業。同年、医師免許取得。山口赤十字病院での勤務を経て、2025年より川崎検査クリニックにて男性専門の性感染症外来に従事。2026年7月、同院長に就任。検査から治療までの診療を行う。
※このページは一般的な医学情報の提供を目的としています。診断・治療については、症状や状況に応じて医師にご相談ください。
最終更新日: 2026年8月21日

