抗菌薬を飲んだのに症状がすっきりしない。何年か前に治療した性病が、本当に治っているのか分からない。そんな不安を抱えたまま過ごしている方は少なくありません。
性感染症の治療では、症状が消えることと、菌がいなくなることは同じではありません。治療の後に「陰性確認検査」を受けていない場合、感染が残ったままになっている可能性があります。

この記事では、抗菌薬を最後まで飲み切らないことで生じる薬剤耐性菌のしくみと、以前治療した性病について改めて検査を受けたほうがよい理由を、上野院の運用とあわせて解説します。
治療したはずの性病が、治っていないことがあります
「薬を飲んだら症状が消えたので、それで終わりにした」という方は多いのですが、性感染症では次のような理由で感染が残ることがあります。
- 抗菌薬を最後まで飲み切らなかった(症状が軽くなった時点で自己判断でやめてしまった)
- パートナーが検査・治療を受けておらず、治療後に再び感染した
- 治療後に陰性確認検査を受けていないため、そもそも治ったかどうかを確認できていない
- のどや直腸の感染に気づいていない(自覚症状が出にくい部位のため)
とくに淋菌感染症では、咽頭(のど)や直腸に感染しても症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となりうることが指摘されています。早期の診断・治療と、性的パートナーへの検査のすすめが重要とされるのはこのためです(参考文献3)。
症状が治まらない場合の原因については、性病の薬を飲んでも治らないと感じるときに考えられる原因もあわせてご覧ください。
薬剤耐性菌とは?抗菌薬が効かなくなるしくみ
薬剤耐性(AMR)の定義
厚生労働省は、抗菌薬などの不適正な使用によって、薬が効かなくなる、あるいは効きにくくなることを「薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)」と定義しています。そして不適正な使用を、次の2つに分けて説明しています(参考文献1)。
- 不必要使用=抗菌薬が必要でない病態で、抗菌薬が使われている状態
- 不適切使用=抗菌薬を使うべき病態ではあるものの、薬の選択・使用量・使用期間が標準的な治療から外れている状態
「途中でやめる」「回数を減らす」「以前もらった薬を自分の判断で飲む」は、この不適切使用・不必要使用にあたります。薬剤耐性は静かに広がることから「サイレントパンデミック」とも呼ばれ、国としての対策が進められています(参考文献1・2)。
耐性菌が生まれ、広がるしくみ

抗菌薬が中途半端にしか届かないと、薬に強い菌だけが生き残ります。生き残った菌が増えると、その抗菌薬は次から効きにくくなります。さらに、薬剤耐性の性質が耐性を持たない別の細菌に伝わり、その菌も耐性化して次々に連鎖していくことがあります。
このように、薬への耐性を持った細菌のことを薬剤耐性菌といいます。抗菌薬の不適切な使用を背景に薬剤耐性菌は世界的に増加している一方で、新たな抗菌薬の開発は減少傾向にあることが国際的な課題とされています(参考文献1)。
なぜ抗菌薬は「飲み切る」必要があるのか
たとえば5日間服用するはずの抗菌薬を、よくなったからと1日でやめてしまった。1日3回服用するはずの抗菌薬を1回でやめてしまった。こうした飲み方は、使用量と使用期間が標準的な治療から外れた状態=不適切使用にあたります。
結果として、しっかり飲み切っていれば死滅していたはずの菌が生き残ってしまいます。症状が軽くなったことと、菌がいなくなったことは別だと考え、処方された分は最後まで飲み切ってください。飲み忘れたときや、副作用が心配で続けられないときは、自己判断で中断せず当院へご相談ください。
自己判断での服薬・残っている薬の使用は危険です

以前に処方された抗菌薬が残っていても、それを自己判断で飲むことはやめましょう。性感染症は原因となる菌によって有効な薬が異なり、量や期間も異なります。手元の薬が今回の症状に合っているとは限りません。
また、中途半端な服用で菌が減ると、検査をしても正しく判定できなくなることがあります。原因菌が特定できないまま症状だけが長引く原因にもなるため、症状が気になるときは薬を飲む前に検査を受けることをおすすめします。
耐性菌には有効な抗菌薬が限られる場合もあります。一人ひとりが抗菌薬について正しい知識を持ち、正しく使うことが、薬剤耐性菌を広げないことにつながります。
心当たりのある行為や、飲み残した抗菌薬がある方は、上野院なら予約不要・匿名で当日検査が可能です。→ 事前Web問診に進む
以前治療した性病、陰性確認はしましたか?
陰性確認検査とは
陰性確認検査とは、治療が終わったあとに、体内から菌がいなくなったかを確かめるための検査です。症状の有無ではなく検査結果で判断するため、「治ったつもり」を防ぐことができます。
治療の直後は、死滅した菌の遺伝子が検体に残っていて正しく判定できないことがあるため、一定の期間をあけてから検査します。
当院での陰性確認の流れ
当院では、クラミジアの場合、内服終了後、3〜4週間後に体内の菌が死滅したか確認する陰性確認検査を実施します。検査後陰性であれば治療終了です。
陰性確認までの適切な期間は、感染した菌の種類や使用した薬によって異なります。いつ再検査を受けるとよいかは診察時にご案内していますので、治療を受けた際は必ずご確認ください。クラミジアの治療薬についてはクラミジアの治療薬について、性病別の治療の進め方は【性病別】性感染症の治療方法・治療薬で解説しています。
こんな方は、改めて検査をおすすめします
- 過去に性病の治療を受けたが、治療後に検査を受けた記憶がない
- 処方された抗菌薬を飲み切らずに残している
- 治療後も排尿時の違和感や分泌物などの症状が続いている
- 当時のパートナーが検査・治療を受けていない
- 治療後に新しいパートナーとの性交渉があった
- のど・肛門は検査していない(性器のみ検査した)
クラミジアや淋菌は、感染しても自覚症状が出ないまま経過することがあり、放置すると精巣上体炎などを起こすことがあります(参考文献3・4)。不安が残ったままにせず、検査で確かめることをおすすめします。
上野院での検査について
川崎検査クリニック上野院は、上野駅から徒歩4分・御徒町駅から徒歩3分・上野御徒町駅から徒歩2分の場所にあり、予約不要・匿名での性感染症検査に対応しています。以前治療した性病の確認だけでもご来院いただけます。
- 検査できる項目・セット内容 → 性病検査メニュー
- 検査・治療の費用(自由診療) → 料金表
- 検体の採り方・検査の方法 → 検査方法について
- 結果が出るまでの日数 → 検査結果のお知らせ時期
- 診療時間・アクセス → 上野院へのアクセス
ご来院前にWeb問診を済ませておくと、当日の受付がスムーズです。→ 事前Web問診に進む
よくある質問
症状が消えることと、菌がいなくなることは同じではありません。症状が軽くなっても菌が残っていることがあるため、治療が終わったあとに陰性確認検査で確かめることをおすすめします。
残っている薬を自己判断で飲み直すことは避けてください。飲み切れていない場合は菌が残っている可能性があるため、まずは検査を受けて現在の状態を確認することをおすすめします。上野院は予約不要で受診できます。
当院ではクラミジアの場合、内服終了後3〜4週間後に陰性確認検査を実施し、陰性であれば治療終了としています。適切な時期は菌の種類や使用した薬によって異なるため、診察時にご案内しています。
治療後に陰性確認をしていない場合や、パートナーが治療を受けていない場合は、感染が残っていたり再感染していたりする可能性があります。のどや肛門の感染は症状が出にくいため、気になる場合は改めて検査を受けると安心です。
参考文献・出典
- 厚生労働省「薬剤耐性(AMR)対策」(薬剤耐性の定義、不必要使用・不適切使用の定義、サイレントパンデミック、抗菌薬開発の減少)
- AMR臨床リファレンスセンター「薬剤耐性(AMR)対策について」
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「淋菌感染症」(2025年12月25日更新/咽頭・直腸の感染は自覚されないことが多く感染源となりうる、早期診断・早期治療・パートナーへの検査勧奨)
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「性器クラミジア感染症」
記事監修
大宅 裕之(おおたく ひろゆき)/川崎検査クリニック川崎院 院長
2021年 山口大学医学部卒業。同年、医師免許取得。山口赤十字病院での勤務を経て、2025年より川崎検査クリニックにて男性専門の性感染症外来に従事。2026年7月、同院長に就任。検査から治療までの診療を行う。
※このページは一般的な医学情報の提供を目的としています。診断・治療については、症状や状況に応じて医師にご相談ください。
最終更新日: 2026年8月24日

