フェラチオ(オーラルセックス)で梅毒はうつります。する側・される側のどちらにも感染し、コンドームを使わない口と性器の接触は感染経路のひとつです。ただし、1回のフェラチオで感染する確率を示した公的な数値はありません。よく見かける「約30%」という数字は別の指標との混同です(くわしくはこちら)。
川崎検査クリニック上野院で梅毒(TP抗体)の検査を受けた方の陽性率は3.5%(1,292件中45件・2024年7月13日〜2026年3月31日)でした。梅毒の検査は感染機会から1か月後に受けられます。心当たりのある行為があれば、上野院なら予約不要・匿名で検査できます。→ WEB問診で来院準備をする
フェラで梅毒がうつる仕組み
梅毒は梅毒トレポネーマという細菌による感染症で、国立健康危機管理研究機構(JIHS)によれば、主な感染経路は性的な接触による粘膜や皮膚の直接接触です。病変部にいる病原体が、相手の粘膜や皮膚の小さな傷から入り込むことで感染します。挿入の有無は関係がなく、口と性器が触れるフェラチオも感染経路になります。
する側(口・のど)が感染する場合
相手の性器に梅毒の病変(しこりやただれ)があると、それに触れた口唇・口の中・のどに病原体が入り込みます。この場合、しこりやただれは口唇や口の中にできることになります。性器に症状が出ないため「自分は性器がなんともないから大丈夫」と考えてしまいやすい形です。
される側(性器)が感染する場合
逆に、相手の口の中に梅毒の病変があると、それに触れた性器に感染します。梅毒の第2期には口の中の粘膜に病変が出ることがあり、本人が気づいていないまま感染源になっていることがあります。厚生労働省の「オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A」でも、梅毒の第2期に口内に病変がある割合は30%程度とする報告が紹介されています。
つまりフェラチオは、する側・される側の双方向で感染が起こりうる行為です。行為全般の性感染症リスクについては フェラで性病がうつる確率は?種類別のリスク もあわせてご覧ください。
「フェラで梅毒がうつる確率」に公的な数値はない — 「約30%」は別の指標
1回のフェラチオ(1回の性行為)で梅毒に感染する確率を示した公的な数値はありません。インターネット上では「一度の性交渉で約30%」「20〜30%」といった数字が広く引用されていますが、当院で確認した範囲では、これを1回あたりの感染確率として示した公的資料や研究を特定できませんでした。
⚠️ 混同の出所と考えられるもの:厚生労働省が示している30%は「梅毒の第2期(病変が全身に広がる時期)に口内に病変がある割合が30%程度」という報告(Gjestland T, The Oslo study of untreated syphilis, 1955)であり、1回の性行為での感染確率ではありません。同じ資料には淋菌の「10〜30%」(性器と咽頭の併存感染の割合)も出てくるため、複数の「30%」が取り違えられた可能性があります。
確率が分からないからといって安心はできません。梅毒は感染から1年未満の「早期梅毒」の時期に感染力が高いとされ、症状が軽かったり自然に消えたりするため気づかれにくい感染症です。数字を探すよりも、心当たりのある行為から適切な時期に検査を受けるほうが確実です。
当院(上野院)の実測データ
目安として、川崎検査クリニック上野院で実際に検査を受けた方の陽性率を掲載します。
| 検査項目 | 検査数 | 陽性数 | 陽性率 |
|---|---|---|---|
| 梅毒(TP抗体・血液) | 1,292件 | 45件 | 3.5% |
| 咽頭淋菌(うがい液) | 1,753件 | 76件 | 4.3% |
| 咽頭クラミジア(うがい液) | 1,784件 | 36件 | 2.0% |
| 咽頭マイコプラズマ・ウレアプラズマ4菌種のいずれか | 1,619件 | 149件 | 9.2% |
なお、川崎院と上野院を合わせた梅毒(TP抗体)の陽性率は2,843件中113件で4.0%でした(同期間)。
この数字の読み方:いずれも当院で検査を受けた方のうち陽性だった割合であり、1回の行為で感染する確率ではありません。また一般の人口における有病率とも異なります。この数値には症状のない方が多く含まれているため(定期検査・スクリーニング目的の受検が多いため)、症状が出ている方に限れば陽性率はこれより高くなり、逆に心当たりのない方の保有率と比べれば高く出ます。項目別の内訳は 性病検査の陽性率データ(上野院実測) にまとめています。
心当たりのある行為があれば、上野院なら予約不要・匿名で検査できます。→ WEB問診で来院準備をする
口・のどに出る梅毒の症状
第1期:しこり・ただれ(硬性下疳)が口唇や口の中にできる
感染からおよそ3週間後、病原体が入り込んだ部位にしこりやただれができます。フェラチオで感染した場合は、性器ではなく口唇や口の中にできることになります。特徴は次のとおりです。
- 痛みがないことが多い(口内炎とは違い、しみたり痛んだりしない場合がある)
- 近くのリンパ節(あご下・首)が腫れることがある
- 治療をしなくても数週間で自然に消える。ただし治ったわけではなく、体内では感染が続いている
この「痛くない」「勝手に消える」という2点が、梅毒が見逃されやすい最大の理由です。
第2期:口の中の粘膜病変と全身の発疹
第1期の症状が消えたあと、数か月かけて病原体が全身に広がります。手のひら・足の裏を含む全身に発疹(バラ疹)が出るほか、口の中の粘膜に白っぽい病変(粘膜斑)が出ることがあります。前述のとおり、厚生労働省のQ&Aでは第2期に口内に病変がある割合を30%程度とする報告が紹介されています。この時期の口内病変は感染源になりうるため、オーラルセックスやディープキスでの感染が起こります。
初期症状の経過は 梅毒初期に見られる症状とは?、病気そのものの全体像は 梅毒とは?症状・感染経路・治療法 でくわしく解説しています。
⚠️ 口の中の症状だけで梅毒かどうかを見分けることはできません。口内炎・ヘルペス・咽頭炎など見た目が似た病気は複数あり、判断には検査が必要です。
唾液やキスでうつるのか
唾液そのものが感染源になるわけではありません。感染が成立するのは、梅毒の病変に含まれる病原体が相手の粘膜や皮膚の小さな傷に直接触れたときです。したがって、コップの回し飲みや同じ箸を使うといった日常的な接触で感染することは考えにくいとされています。
一方で、口の中に梅毒の病変がある場合は、そこに触れる行為で感染しえます。ディープキスもその一つです。キスで感染する性感染症については キスで感染する性病の種類・確率・症状 で解説しています。
検査を受けられる時期と検査項目
梅毒は感染機会から1か月後
梅毒の検査は感染機会から1か月後に受けられます。それより早い時期は、感染していても抗体がまだ十分にできておらず、正しく判定できない可能性があります。症状(しこり・ただれ・発疹)が出ている場合は、時期を待たずにご相談ください。
| 検査項目 | 検査を受けられる時期 | 採取するもの |
|---|---|---|
| 梅毒 | 1か月後 | 血液 |
| クラミジア | 24時間以上 | 尿(のどはうがい液) |
| 淋菌 | 24時間以上 | 尿(のどはうがい液) |
| マイコプラズマ | 24時間以上 | 尿(のどはうがい液) |
| ウレアプラズマ | 24時間以上 | 尿(のどはうがい液) |
| HIV | 4週間 | 血液 |
当院の梅毒検査は「TP抗体」と「RPR定量」の2項目
当院が実施している梅毒の検査は、TP抗体検査とRPR定量検査の2項目です。それぞれ調べている内容が違います。
- TP抗体:梅毒トレポネーマに感染したことがあるかを調べます。治療を終えたあとも陽性のままになることがあります
- RPR定量:現在の病気の勢いを数値で示します。治癒の判定にはRPRを使います
- いずれも血液(採血)で調べます。口の中を綿棒でぬぐう検査ではありません
検査結果の見方や費用は 梅毒検査でわかること|TP抗体・RPR定量の見方、陽性だった場合の治療は 梅毒の治療方法と流れ をご覧ください。
フェラのあとは、のどの検査もあわせて受けておく
フェラチオで感染するのは梅毒だけではありません。のど(咽頭)のクラミジア・淋菌・マイコプラズマ・ウレアプラズマも同じ行為でうつります。梅毒が血液検査なのに対し、のどの検査はうがい液で行うため、同じ受診でまとめて調べられます。
のどの感染は症状が出ないことが普通で、症状の有無では判断できません。当院の集計(川崎院・上野院の両院合計)では、のどが陽性だった538検体のうち405検体(75.3%)は尿(性器)が陰性でした。尿だけを調べていたら見つからなかったことになります。
のどの検査は、専用の液体で約30秒うがいをするだけです(綿棒でのどをぬぐうことはありません。のどのHPV検査をご希望の場合のみ綿棒での採取になります)。フェラでのクラミジア感染については フェラでクラミジアはうつる?のどの症状・当院の陽性率 でくわしく解説しています。
上野院での検査の流れ・結果が出るまで
当日中に結果が出るのは、淋菌・クラミジア・マイコプラズマ・ウレアプラズマ(尿・うがい液)/梅毒(TP抗体)/HIV の6項目です。梅毒のTP抗体はこの6項目に含まれます。
即日検査をご希望の場合、13:00までの検体採取で最短当日19時頃に結果をお知らせします(14:30以降の採取は翌日19時まで)。
即日で結果を受け取るための条件は 性病検査を即日結果で受けるには? にまとめています。検査項目と料金は 性病検査メニュー・料金一覧 をご覧ください。
- 初めて検査A(15項目): 49,800円
- 初めて検査B(11項目): 39,800円
- コンプリート検査(18項目): 64,800円
よくある質問
感染します。梅毒は病変部の粘膜や皮膚が直接触れることで感染するため、フェラチオやクンニリングスなどのオーラルセックスでも感染します。する側は口唇・口の中・のどに、される側は性器に感染する可能性があります。挿入の有無は関係がありません。
唾液そのものが感染源になるわけではありません。感染が成立するのは、梅毒の病変に含まれる病原体が相手の粘膜や皮膚の小さな傷に直接触れたときです。ただし口の中に梅毒の病変がある場合は、そこに触れる行為(オーラルセックスやディープキス)で感染が起こりえます。コップの回し飲みなど日常的な接触で感染することは考えにくいとされています。
できます。梅毒の第1期には、病原体が入り込んだ部位にしこりやただれができ、フェラチオで感染した場合は口唇や口の中にできます。痛みがないことが多く、治療をしなくても数週間で自然に消えるため見逃されやすいのが特徴です。第2期には口の中の粘膜に白っぽい病変が出ることがあります。見た目が似た病気が複数あるため、検査で確かめる必要があります。
1回のオーラルセックスで梅毒に感染する確率を示した公的な数値はありません。「約30%」という数字を見かけることがありますが、これは厚生労働省が紹介している「梅毒の第2期に口内に病変がある割合が30%程度」という報告と混同されたものと考えられ、1回の行為での感染確率ではありません。参考値として、川崎検査クリニック上野院で梅毒(TP抗体)の検査を受けた方の陽性率は1,292件中45件で3.5%でした(2024年7月13日〜2026年3月31日)。これは検査を受けた方のうち陽性だった割合であり、1回の行為で感染する確率ではありません。
まとめ
- フェラチオで梅毒はうつる。する側・される側の双方向で感染しうる
- 1回あたりの感染確率を示した公的な数値はない。「約30%」は「第2期に口内に病変がある割合」との混同
- フェラで感染すると、しこり・ただれは口唇や口の中にできる。痛みがなく自然に消えるため見逃されやすい
- 唾液そのものではなく病変部との接触で感染する
- 梅毒の検査は感染機会から1か月後。当院の項目はTP抗体とRPR定量の2つ(血液)
- のどのクラミジア・淋菌などは24時間以上で、うがい液で同時に調べられる
- 上野院の梅毒(TP抗体)陽性率は3.5%(1,292件中45件・2024年7月13日〜2026年3月31日)
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「梅毒」
- 厚生労働省「オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A」
- 厚生労働省「性感染症」
- Gjestland T. The Oslo study of untreated syphilis. Acta Derm Venereol 35(suppl 34), 1955, p.125.
- 性病検査の陽性率データ(上野院実測)(当院の集計値)
上野駅徒歩4分・御徒町駅徒歩3分|予約不要|当日結果通知
この記事の監修者
最終更新日: 2026年9月11日

コメント